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極楽蝶華

 




萌え分補給用の薄い本で占領されてたスツールをひとつ解放して、ライちゃんに奨めた。
彼が腰掛けるのと同時に自分もキャスター付きの椅子を引き寄せ、ここ1週間定位置と化していたそこに改めて腰を下ろす。


「…………。」


ライちゃんが、周りに散らばる薄い本の表紙に目をやって複雑な表情をしている。
だ、だってしょうがないじゃないユウちゃんがいないから他から萌え分補給するしかなかったんだもん!




『……で、どうなの?ユウちゃんの唇はぺろぺろしたの?』

ともかく話を戻そう。
私は早く君達がちゅっちゅぺろぺろした話が聞きたい。


「あ……はい。ぺろぺろっつーか、キスなら何回か……ちゃんとユウの意識があるときに。」


『なっ!?……っ、う……、ふぅ、何でもない。続けたまえ。』


……危うく想像が先走って弾ける所だった。
ライちゃんとユウちゃんが結ばれるまで(精神的にも性的にも)昇天は出来ない。



「まぁ……あと、キスだけじゃなくて……」

『だけじゃなくて?!』

「下の方もぺろぺろしたっつーか……」


へらぁ、っと男前な双眸が崩れ、その時の事を思い出してか薄く開いた唇から舌が微かに覗く。

惚気て少し気恥ずかしくなったのか、私から目を逸らして口を手で覆い隠しながらまだニヤニヤと思い出して幸せそうにしている。





…………、


……下の方も、ぺろぺろした、だと……っ?!

(あまりの楽園に一瞬意識が遠退きかけた)


『ひと月前までとんでもないチキンだったのにいつの間にそんな進展したんだ!!……っくそ、早く詳細を話すんだ!!』


メモをとる準備はとうの昔に出来ている!




「……チキン……っつーか、卑怯でしたよね、俺。
あいつらが出てきたからって訳じゃないんですけど、……もう我慢するの止めたんです。
出来るならユウに俺の事好きになってもらってからキスとかしたかったんですけど。……待てないんです、」



突然真剣な表情をしたライちゃんに、一瞬目を奪われた。


彼は真剣なのに、頭の中で本能が『我慢しなくていいと思うよ!待たなくていと思うよ!』と声高に叫んでて、一瞬情けなくて死にたくなる。

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あきゅろす。
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