極楽蝶華 違う。 「え?」 『それは……違う、と思います……』 状況を飲み込めずに猛さんが驚いている。 『琉崎――の方は、不良みたいなのが集まったチームのトップ張ってて……。 去年の冬、って言うと、【極楽蝶】ってチームとぶつかって向こうのトップに――負けた――とまでは行かないんですけど、そいつらの溜まり場で、琉崎以外全員潰されて。 そんなのが理由で、荒れてたんだと思います。聞いた事ありますから。』 「……ずいぶん詳しいんだね。」 『……えーっとぉ……猛さん、琉崎には言わないでくださいね?』 「なに?」 『その……タイマンはって微妙に勝った、っていうのが、俺なんです。バラしたら駄目ですよ?信憑性のために言ったんですからね。』 「……そうなのか?」 『はい。そんときは【ユウ】って呼ばれてましたけど。』 「そぅ……あぁ、言わないよ。勿論。」 急に何かを思い出したようだ 言葉が冷たい響きになった。 話を変えたくて顔を上げると、いつの間にかHR棟の前まで歩いて来ていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |