極楽蝶華
まじで?
「いや……だって、顔も名字も同じなんだよ?気付かない?」
『あぇー………だって……猛さんと琉崎が、キャラ的に物凄いかけ離れてるんですよ。
……パッと見は間違えましたけど、俺的にはそこまで似てると思えなくて……
……血縁とかも考えられないから、その選択肢がそもそも……』
「えー?俺達双子なんだけどなぁ……似てないの??」
えッ!!マジで?!
『いや……俺には違う人にしか見えません。
でも、そこまで格好が一緒だと……間違える人もいるんじゃないですか?』
ここまで偶然に似る、ってことは無いよなぁ……
と言うことは、どっちか……或いは両方が意図的に同じ格好になるようにしてんだよな。
猛さんの顔が一瞬曇った。
「んー……。悠紀仁の泣き顔も見ちゃったし、俺も恥ずかしい話でもするかなぁー。」
「俺ね、俊と双子なんだよ」
『はい。』
「それでなー……ちっちゃい頃から、何でも。……勉強とか、スポーツとか……全部、少しずつ俊に負けてたんだ。」
……無理矢理作ってる笑顔が……痛々しい……
「父親もね、俺より……俊の方見るようになって。……少し、こっちも見て欲しくてさ。
……俊の格好真似するようになったんだよ。」
……上の方を焦点を持たずに見つめている。……笑っているのに、泣きそうだった。
なんか、見てるこっちが寂しくなる表情をしている。
「でも、それも、嫌になって……俊も、真似されるのが嫌になったんだろうな。こんな、いっぱい、ボディピアス開けて……結局、それも同じとこに開けたけど……
……俺が追い詰めたようなモンだよ……
去年の冬頃から、俊がスゴい荒れてて……それから逃げるように、俺……留学してたんだ。
双子なのに。この世でお互い一人だけの片割れなののに。……その半身を置いて、逃げるみたいにさ。」
『……違うっ!』
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