極楽蝶華
猫に関する謎。
「……あ、もう。
ホラ、ヤメロ……あはは。」
服に爪を引っ掛けて悠紀仁の身体を昇り出した子猫。
困ったように……けれど、少し嬉しそうに肩の辺りに乗った子猫にほお擦りして……
それを見て、一層悲しそうにした獅子緒先輩。
何回か……戸惑って、躊躇して、
……やっと喉から搾り出したみたいな小さな声が……ギリギリ、切羽詰まってた。
「……ユウの猫は……俺だけでしょ……?」
ふ、と猫を撫でる手を止めて何かを思い出した様な表情。
少し困った、という顔をして悠紀仁が口元を押さえた。
「あ……あ〜……ごめ……」
「何で他の猫撫でるの?
……ユウ、俺は、ご主人様ユウしかいないんだよ?
でも……ユウは他に猫欲しいの?」
……は?
猫?ご主人様?
……獅子緒先輩の言った事からは……
悠紀仁=ご主人様
……で、誰の?
つか、何事?
で、何でそんな事を言いながら……獅子緒先輩が、泣きそうなのか……
それに慌てた悠紀仁が駆け寄って、顔を覗き込みながら……慰めて?
「ごめん……うぁ、悪かったからぁ……レオ……」
謝って?
……なんで……?
何で、悠紀仁が……猫触ったら……獅子緒先輩に謝んなきゃなの?
獅子緒先輩が猫嫌い、なんじゃなくて……
悲しそう……なんだよなぁ……
……ホント何で?
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