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極楽蝶華

 




それから、またしばらく悠紀仁を凝視して……悠紀仁がこちらを向くのを待った。


俺が悠紀仁の意識を待ち望んでいたのはほんの十数秒の事だったんだろうけど……その間にも獅子緒先輩は泣いてしまいそうな気がして。




『……!!』


「あ、なぁあき……」




悠紀仁が俺を見た瞬間……、不自然な位、悠紀仁を凝視する。


……悠紀仁がその不自然さに、完全に俺に意識を移したのを見計らって隣に立つ長身に視線を移した。



また、悠紀仁に視線を戻して……再び、獅子緒先輩を眼だけで見る。



何回かそうやって、俺が言いたいことが分かったらしく……悠紀仁が獅子緒先輩を見て、その異変に気付いた。




「……レオ?」



ふ、ふぅ……


俺は、出来るだけの事はしましたよ。



この後会長達と第……何次か判らないほどの大戦ぶっ放すんならその気配を察知した途端飛んで逃げますからね。


悠紀仁が鈍いのは色恋沙汰だけだから……一般市民の俺が巻き添えを恐れて逃げ出すのも分かるだろう。




てゆーかそれが正常な人間の反応だ。




「レオ……どした?」


「ユ……ウ……」






悠紀仁が腕に抱いている猫、二匹。


少し鼻にかかったような高めの鳴き声がにーにー響いていた。

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