極楽蝶華
3
「そーいえば、悠紀仁はどーしてこんな中途半端な時期に転校して来たの?」
「あ、それ俺も気になったわぁ。なんでなん?夏休みまで後三週間やで?」
エビフライの刺さったフォークは方向指示機じゃないよ、潤。
『要約すると【親の都合】なんだけどね。急に一緒に住めなくなっちゃってさ。』
「へぇー。俺も似たような理由だよ。」
『ぅん?』
カルボナーラ口に入れたままだったので潜もった声が出た。
「うちの親父が仕事でアメリカ行っちゃって。俺が中学に上がる前なんだけど。俺英語出来無いからこっち残ったんだよ。」
『へー将治のお父さんも?うちの父親も確か今アメリカだよ。』
……にしてもここは普通の常識は通じないな。前の学校では……
学食は戦場だった。
俺は自分で弁当作ってたけど、それでもたまに寝坊して学食を使ってて。
チャイムと同時にダッシュは当たり前。ただでさえマズイ学食。
まともなメニューは限られていた。
なので泣く泣く伸びきったラーメンだかうどんだか判別が不可能なもん食う羽目になったりしたなぁ……
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