極楽蝶華 もういらね。 □■□■□■□■□■□■ 科学実験室の黒くてデカイ机に座り、早く終わんねぇかとぼー……っとして天井を眺めていた。 「う……そぉ……何で?」 自分の足の間に埋まってた猫っ毛が持ち上がり、萎えた雄を口から零した。 先端から粘性の高まった唾液が糸を引く。 『……だから言っただろ。 俺はもうお前とヤラねぇ、って。勃たねぇんだよ……アイツじゃなきゃ。』 身体の向きを変え、制服の中にソレをしまった。 「な……んで?!何で?! 何で僕じゃ駄目なのぉ……」 『お前が駄目とか別に言ってねーだろ。勝手に悲劇のヒロインぶんな自意識過剰。 ……俺はユウじゃなきゃ駄目なんだよ。』 胸ポケットから煙草を出して、唇に挟んだ。 カキン、とオイルライターの蓋を開ける。 ジジジ……と小さく鳴って、火が付いたことを確認してライターを閉じた。 「ねぇ……じゃあ、言わないから、今までみたいにシテよ。 僕上手いから、そのうち俊様もきっと勃つよ?」 『……お前が上手い、っつーのは知ってるよ。俺がもうユウと以外こういう事したくねぇんだよ。』 強いタールの香りが肺を満たした。 「……でもっ!!」 『うるせぇよ。』 いい加減しつこくてイライラしてきた。 最大限で冷たく突き放す。 『いいだろ。お前は俺だけじゃねぇんだし。』 「……え?」 『オイコラ。俺にバレてねぇとでも思ってたのか? 春日や獅子緒や猛とまでヤッてんだろーが。』 「……俊様、だって……」 『俺はもうユウしか見えない。』 黙ったままの初音(ハツネ)。 『ユウしか欲しく無いしユウ以外いらねぇ。』 むせ返る様な濃いニコチンを、ゆっくりと吐き出した。 「じゃ……じゃあ、最後にシょ?」 自分に跨がって、誘うように腰を擦り付けてくる。 『……うい、いい加減にしろ。』 ランキング4位の可愛らしい顔付きを睨む。 自分の事を「初様(ウイサマ)」と呼ばせる淫乱。 教室に鞄取りに戻ったらコイツがいて 「俊様ぁ!!最近抱いてくれないんだね。僕寂しかったぁ…… ……ね、シてよ。」 『あ、無理。』 「……え?」 『あとな、俺お前と切るから。』 何で男も女も別れるときギャーギャー言うんだろうな。 めんどくせぇ。 「ね……最後。そしたら俊様も考え直すと思うよ?」 [*前へ][次へ#] [戻る] |