極楽蝶華
2
『んぁ……』
自分の中の物が擦れ上がって、情けない声が喉から漏れた。
身体を支えきれずに崩れ落ちる。
『ふんぅっ……』
銜える金属が自分の声に併せてビリビリと鈍く響いて、すごく嫌な気分になった。
「……オイ、あれ、……何。どうしたの?」
そのまま呼吸を落ち着けようと肩を上下させていると、前方から声が聞こえた。
いくつかの人の気配が自分に近付く。
そうだ……お願い、こっち来て、
解いて、腕の枷を外して、ねぇ、
「この子って……あの、ユウちゃんじゃねぇ?」
「え?!……あ、マジだ!!」
「ちょ、お前目隠し取ってみろよ。」
しばらくして、視界が急に明るくなった。
光の量に戸惑っていると、段々と自分の周りがどうなっているか網膜に映って来た。
周りの目線が自分の身体に注がれてるのに気付き、今の自分の格好を思い出して目を臥せた。
頬が一気に熱くなるが解って、それが余計に羞恥を煽る。
「肌……白ぉっ!!」
「……細ぇー……すげぇ……エロイかっこ。
ねぇ、これ何かのプレイ……?」
無遠慮にベタベタ触られて、また恐怖感が出てきて。
後ろで固く握り絞めた手に、汗が滲んだ。
「ちょっと退け。」
一人が、自分のズボンを上まで上げて、前を閉めてくれた。
ベルトまでは留まっていないが、安心感に息が漏れる。
そのまま脇に手を入れられて、抱き上げられて
「さぁーあ……今度は俺らとイイ事しよ?」
「寮行く?」
「我慢出来ねぇよ。」
「なぁ、その辺に鍵開いてる部屋ねぇ?」
上から降ってくる声。
再度襲ってくる、先程の感触。
やだぁ……
何処か切ったのだろうか。
口の中に血の味が広がった
―ガコッ―
「ぎっ……ぁう!」
上半身を跳ね上げて、自分の目の前にある人物の顔に思い切り頭突きを叩き込んだ。
『っくぅ〜……』
自分も、落とされて背中から床にたたき付けられて一瞬息が詰まる。
「テメっ何す……がっ」
すぐに意識を立て直し、自分に腕を伸ばすヤツの腹に踵蹴りを入れて……。
『……んあぁ!』
けど、動くたびに中が擦れ上がり、まともな考えができない。
熱っぽい目をした男達が、また腕を伸ばして覆いかぶさってくる。
ただただ怖くて、殆ど無意識に足を払った。
壁にもたれ掛かって自分の体重を支え、爪先を相手の腹にめり込ませる。
その反動か、後ろの壁が動いた。
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