極楽蝶華
王子様の心配事
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……いつもあるような事にも苛々する……
俊が生徒会の集まりをすっぽかすなんていつもの事だ。あれ程目くじらを立てるようなものでは無い。
昨日の朝も俊は来なかった。それは別に良い。
実際はたかが行事の進行を決める程度のものだ。
本人も言っていたが俊抜きでも決められる。
まるで八つ当たりだ……
昨日の昼から、人との会話が無くなっているどころか笑顔さえろくに作ってない。
今部屋にいる生徒会のメンバーはとりあえず、普段温厚で笑顔を絶やした事の無い奈緒の仏頂面に周りの人間は内心落ち着いていられなかった。……特に、同じクラスの生徒達。
奈緒自身、理由は判っていた。
ケータイを開くが連絡は入っていない。
『……悠紀仁……』
名前を呟き腕で頭を抱え込むように机に突っ伏した。
一昨日の昼から顔を見ていない……。
一昨日は用事があってあの後悠紀仁の所に行けなかったし……(春日の事を聞きに行きたかったのだが)
昨日は放課後は教室、部屋まで行ったが会えなかった。(春日の顔見ただけで終わった。……チクショウ。)
昨日の昼からは連絡もとれない。
学園内にいれば、ケータイに電波が入らない、なんて事は無い。
何で、こんな長い時間電源が入ってないんだよ……
連絡が取れない
声を聞いてない
……顔を見てない。
あの細い身体を抱きしめてから、どのくらい時間が経ってるんだろう。
ただそれだけなのにオカシクなりそうなくらいに心配だった。
自分がここまで他人に執着するなんて、自分でも信じられない……
それも、会ってから数日しか経っていないのに――
黒いところや会長との口論等を知っている生徒会の人間でさえ、今の奈緒には近寄りづらかった。
普段の奈緒なら、今の高裏の様な思い詰めた顔をしていれば理由の一つも尋ねていただろう……
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