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極楽蝶華
もはやお約束



「ん〜〜……そろそろ出る?みんな腹減らねぇ?」



ゲーセンの中での男子高校生らしい1コマを楽しみつつ、俺達一般家庭の人間の財布の余裕がなくなりかけた頃

今回のグループの中で唯一全員への発言力を持った友人が調度空腹を訴えたため、俺達はゲーセンを後にしてどこか飯の食える場所へと河岸を変えることになったため、

とりあえずどこで食べるか、は駅に向かいながら話すことにして外へと出た。



「あれ、もう店開くの?」

「もう、って言っても5時半回ってるけどね。
そろそろこっちの店のお客さんが出る頃だから。」

「あ、ほんとだ。いやー、日が長くなったねー。」

「ユウちゃん達はもう帰るのかい?珍しいね。」




ゲーセンの向かいの建物の、1階の店舗の前で開店の準備をしてたらしい人に悠紀仁が親しげに声をかける。
すらっとした体躯にバーテンの制服、長髪を後ろでひとまとめにして眼鏡をかけたイケメン。


その人が、女性なら誰もが惚れるような甘い笑みで悠紀仁と仲良さげに喋り出した瞬間、案の定不動と先輩方が不機嫌になってガン飛ばし出した。

いや……もう、今日一日で大部慣れましたわ。
あ、でも、俺が当事者にならない場合に限るからね。




「悠紀仁、そいつはどーゆー知り合いだ?」

「そーですよっ!何でそんなやたら男の知り合いが多いんですか!」

「へ?どう言う、って……?」

キョトン、としている悠紀仁に不動と透君が詰め寄る。その間を割るように琉崎会長と副会長が不機嫌オーラ出しまくりで悠紀仁を抱き寄せながらバーテンの男性を威嚇した。


「俺も聞きてぇなぁ。」

「ここ、お酒出す店だよね?バーテンさん。なーんでこの子とそんなに親しげなの?」



ちりちり、と決して巻き込まれたくない火花が飛ぶ。
えっと、今日で何回目だっけ。まったく、血の気多いんだからこの人達は。




ふとそこから離れた集団を見遣った。村上先輩、久遠先輩、獅子緒先輩……はこのいさかいに参加せずに……久遠先輩なんかはむしろ面白そうにこのイベントを傍観している。

小心者の一般市民としては、喧嘩の売り合いでも始まるんじゃないかとハラハラしていたが
この心配は幸運にも悠紀仁のたった一言で杞憂に終わる事になった。







「……お前ら何言ってるんだ?
カゴメさんだぞ?昼に喋っただろ?」

「「「「え?」」」」


悠紀仁の言葉に4人とも、……俺も、彰も潤も一斉にバーテンの男性の顔をまじまじと見つめた。

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