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極楽蝶華
今更
 



はぁはぁ

『……可愛かった?ユウちゃん。』


ここだ。

これが最重要項目だ。「本物のユウちゃんが、実際の最中にどんな事言ってどんな反応するのか」……これが確認できないと聞いた意味がない!



「……もう、可愛いなんてもんじゃ……」


元々最中を思い出していたであろうにやけ顔が、一層「にへらぁっ」と幸せそうに崩れる。

幸せ過ぎて堪えられない
とでも言うように握りこぶしを口に宛てて、無意識なのだろう、指の関節を軽く噛んでいる。



うん、可愛かったのね?ユウちゃんが可愛かったのね?
それはすご〜〜くよくわかったから(そもそも普段のユウちゃんを見てれば最中が可愛いであろうことくらい余裕で妄想出来るが)ユウちゃんがどのように可愛かったのか具体的に言った事とかした反応を話してくれないかしら?


「…………。」


幸せそうな顔が一転、眉間にシワが寄り難しそうな表情になる。

言葉に詰まってる様子を見て、「ユウちゃんがあまりに可愛かったもんだから表現する言葉が見つからないのかな?」なーんて思ってたら




「……やっぱ、言いたく……ないです。」


『えぇぇぇっ?!
ちょっと待ってよ!ここまで楽しみにさせといてそれはないよ!
見せびらかすだけ見せびらかしといて聞かせてくれないとか酷い……っ!!
あ、先に写真?ライちゃんはこの兎耳付けたユウちゃんがチュッパチャップスぺろぺろ舐めながら上目遣いで写ってるヤツが欲しいんだっけ?
ほーら、実はね、成功報酬用には見せてた写真よりももっと可愛い表情してるのを用意して……』
「いや、その、そうじゃなくて……写真、……貰えなくていいんで……智美さんに話したくありません。」






『……え?……私がライちゃんとユウちゃんの事小説のネタにしてるから?

……で、でも、個人特定されないように外見は変えて描写してるし、個人情報も漏れないように気をつけてるし……
ユウちゃんへバレるのが怖いなら大丈夫よ?私からは絶対に「私が執筆した本」や「私のペンネーム」がユウちゃんの耳にすら入らないようになってるし……本名をネットで探しても出てこないわよ?私の本名担当編集者と編集長しか知らないから。

……全部納得して協力、してくれてたでしょ……?今まで……』



なんで?なんで?

どうして今になって……そんな事言うの。

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