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極楽蝶華
騙す方も騙す方だがそれで騙される方も随分と
 


「・・・・俊も捕まったのか?」


腕の中の華奢な体躯から声が上がった。
俊ニィの方に顔を向けたらしく俺が頬を埋めていたふわふわの白銀が横に動く。


ふわふわ。ふわふわ。
うん、悠紀仁さんは白兎だな。

耳が生えてるところを想像して更に顔がにやけていっそう深く悠紀仁さんを抱きしめた。
さっきから暑いとか苦しいとか言って引きはがそうとしてるみたいだが生憎と俺の愛はその程度じゃ引き下がりませんよ。


「そーだよ。だからハイヤー呼ぼうっつっただろ。めんどくさいんだよ。」

悠紀仁さんのうなじをじっとりと濡らす汗にムラムラして本人が気付かないようにキスしながら堪能してみた。
悠紀仁さん華奢だから、汗かいたら鎖骨の窪みにも溜まるかな、なーんてなーんて。


「さっきの断り方からすると、宗教の勧誘か?
でも意外だな。俊みたいな神を神とも思わなそうなやつ勧誘するなんて。」






「・・・・今何て?」

「だから、宗教の勧誘だろ?あ、それともキャッチセールスか?」

違うのか、なら【アンケートお願いしまーす】ってやつ?


そう首を傾げる悠紀仁さんに俺らの目が点になった。
当たり前だが言われた本人も口を半開きのまま固まっている。

どこをどう、どこをどう解釈すればそんな答えが・・・・


ふと思い当たる事があって斜め前を見た。
敦さん。彼ならこの不可解な勘違いの意味も知ってるに違いない。

激しく名残惜しい。名残惜しいが、悠紀仁さんから離れて敦さんに近付く。
他の数人も、獅子緒先輩を除いて敦さんの周りに集まってそれとなく答えを促した。


「・・・・知っての通り、ゆーはあの性格じゃろ。
遊んでると大体声かけられるけど、モデルか芸能事務所のスカウトじゃ言っても信じないけぇ。
【宗教の勧誘かキャッチセールスかなんか】て教えてあるんよ。じゃけんついてったり相手にしたらあかんよ、って。」


・・・・そう言えば悠紀仁さんにとって【ナンパ】は喧嘩売ってるとしか思ってもらえないんだっけか。
鈍感ってすげぇ。

告白するときなんて言えばきちんと伝わるんだろうか、なんて将来のことを心配しながらそのまま目的地へと足を進めた。

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あきゅろす。
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