極楽蝶華
・・・・隠せてないですよ。
□■□■□■□■□■□■
どうしちゃったんだ悠紀仁さんっ。
顔は赤いし、(頬に吸い付きたい)下唇突き出してもろに不機嫌顔だし、(その唇に吸い付きたい)眉をこう・・・・ちょっと寄せて、困ったような恥ずかしがってるようななんとも可愛いその表情はどうしたんですか。
何が原因かまでは解らない・・・・けど、
それを作ったのは村上さんですね、わかります。
俺は悠紀仁さんみたく極限の鈍感じゃないのであれだけ分かりやすかったら気付きますよ。
ごまかせたと思ってるのはあなただけです。
ここで問い詰めても・・・・村上さんに間に入られてうやむやにされておしまいだろう。
となれば今これをここで突っ込むのは得策じゃない。
後で・・・・学園に帰ってからでも、悠紀仁さんと二人っきりになって直接聞こう。
アニキ達は仕事があるから帰ってからしばらくは生徒会室に缶詰になるはずだし。
・・・・呼び出される前にケータイの電源切って悠紀仁さんの部屋に駆け込もう。
春日さんもいないだろうし。よし。
「あーもーうっぜーなっ!
そーゆーのは興味ねぇって言ってんだろ!」
聞き慣れた怒鳴り声がしたと思ったら後ろでうちの兄貴(より凶暴な方)が何かのスカウトに捕まったらしい。
声をかけてる男の服装からするとホストの勧誘か。
でも、かなり熱心に誘っている彼には悪いが未成年なので酒は飲めないし(公的には)金にも困ってないし第一俊ニィもたけニィも接客できるような器用な性格してないからホストとしては絶対成功しないと思う。
「あぁもう、東京歩いてるとこれだから嫌なんだよ。」
はあ、と大きくため息を吐いた俊がめんどくさそうに前髪を掻き上げた。
ハイヤーハイヤー煩かったのは暑いとかめんどくさいとかの他にこんな感じの実害も含んでいたのだ。
まぁ、顔はいいしなぁ。と透が自分の兄を顧みる。
不機嫌をあらわにして眉にしわを寄せる長兄。
と、
同じ顔だがカメラ構えて中腰で悠紀仁の不機嫌フェイスをズームアップして不審者全開だったお陰(所為)でスカウトに声をかけられることはなかった次兄。
俊ニィはさっきから他人のふりをするべくサングラスをかけて出来るだけ顔を逸らしている。
ちなみに今日の俊ニイのスタイルはドルガバのダークスーツに銀のストライプが入った黒いシャツ、それを第二ボタンまで開けて首からクロムハーツのチェーンを2本下げている。
そーゆー格好してるからいつもホストにスカウトされるんだよ。
とても年相応に見えない。悪くすると本職に見えるし。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!