極楽蝶華
これから
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校医が出ていってすぐ、彼はまた意識を手放したらしい。
体が崩れてベッドに倒れこむ。
「……と、」
すんでの所で体を掴み、ベッドに寝かせて布団をかけてやった。
『部屋に連れて行かなきゃだな……部屋は分かるか?』
「あ、はい……一応。でも――同室の奴が――あの……。
……ちょっと、この状態の悠紀仁を連れていくのは……」
『悠紀仁……と言うのか……』
自分で確認をするように呟く。
「あ、……知らなかったんですか?」
相原が目の前で少し困ったような顔をしていた。
『……別に知ったから何かをする気でもないよ。言いふらす様な事でもないしね。』
「あ、……ありがとうございます――すいません。」
『それで……この悠紀仁君は部屋に連れていきたくない、と――』
「あ、はい――同室の奴が……有名で。
今抵抗出来るような状態じゃないので、出来るなら連れて行きたく無いんです……」
――言いたいことは、もの凄く分かる――
上気した顔、火照った身体、痛みで少し寄った眉、荒い息遣い……
ときどき漏れる声。
『……それに、今動かせるような状態でも無いだろうしな……
――この部屋にはベッドルームが2つある。今夜はここで預かろう。』
「……っ、本当ですか?!」
ありがとうございます、と続けて相原がほっと息を吐きだした。
いや、別に……これが他の奴でも自分はこうしてた。
……こんな、嬉しい、なんて思いはしなかっただろうが……。
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