極楽蝶華 これから □■□■□■□■□■□■ 校医が出ていってすぐ、彼はまた意識を手放したらしい。 体が崩れてベッドに倒れこむ。 「……と、」 すんでの所で体を掴み、ベッドに寝かせて布団をかけてやった。 『部屋に連れて行かなきゃだな……部屋は分かるか?』 「あ、はい……一応。でも――同室の奴が――あの……。 ……ちょっと、この状態の悠紀仁を連れていくのは……」 『悠紀仁……と言うのか……』 自分で確認をするように呟く。 「あ、……知らなかったんですか?」 相原が目の前で少し困ったような顔をしていた。 『……別に知ったから何かをする気でもないよ。言いふらす様な事でもないしね。』 「あ、……ありがとうございます――すいません。」 『それで……この悠紀仁君は部屋に連れていきたくない、と――』 「あ、はい――同室の奴が……有名で。 今抵抗出来るような状態じゃないので、出来るなら連れて行きたく無いんです……」 ――言いたいことは、もの凄く分かる―― 上気した顔、火照った身体、痛みで少し寄った眉、荒い息遣い…… ときどき漏れる声。 『……それに、今動かせるような状態でも無いだろうしな…… ――この部屋にはベッドルームが2つある。今夜はここで預かろう。』 「……っ、本当ですか?!」 ありがとうございます、と続けて相原がほっと息を吐きだした。 いや、別に……これが他の奴でも自分はこうしてた。 ……こんな、嬉しい、なんて思いはしなかっただろうが……。 [*前へ][次へ#] [戻る] |