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極楽蝶華

 

それが当然、とでも言うように村上が椅子に腰掛けた。

別に譲ってもらいたい訳じゃねぇが、コイツ本当に悠紀仁以外には何の遠慮もしねぇな。

話が長くなりそうだったので俺も机に座って足を組んだ。
高裏はこう言うことにいちいち煩いが、村上は特に注意する気は無いらしい。


そもそも人に対する興味が無いんだろうな。
眉一つ動かさず、話が続けられた。


「君の頭の回転が速いのは助かるよ。
私は馬鹿と話をするのは好きじゃない。」


それは俺も同感。


「そして、【ユウ】と……出来れば【悠紀仁】も。
藤堂グループ直系の未来の後継者、と言うのは隠しておいた方が好ましい。
出来れば公開は役員就任と共に。」

『……悠紀仁を権力に群がる馬鹿から護る……ってだけじゃなさそうだな。その様子じゃぁ。だろ?』


「あぁ。」


……ッたく。

コイツの表情だけは全然読めねぇ。


「理由としてはまず一つ……
……悠紀仁様に学んで戴く為。」

『…………へぇ。』

あんたが考えそうな事だ。

「あの人は……無償で人を信じ過ぎる。
だから、身分を言うまでと、後で……愚かな人間はどの様に反応が変わるのか学んで戴く。
勿論それと画策した、と気付かぬ様にだが。
厳しい様だが……これを知って戴かないとあの人が辛い思いをする。」


『その意見にゃ俺も大賛成だ。
アイツは良いヤツ過ぎんだよな。あとは?』


「これみよがしに聞こえるところで悠紀仁様にさんざ暴言を吐いたクズ共に、卒業してからも……死ぬまで仕事面で恐怖に曝されて貰う。
勿論私が居た場所で悠紀仁様に向けられた罵詈雑言は一言一句漏らさずに……その言葉を言った主の名前と共に記録してある。

悠紀仁様が役員就任なさったら村上の人間としてそいつらに警告を発するつもりだ。」


『ハハッ、面白ぇー。』



つまり、悠紀仁に一言でも敵意を向けた人間はこの学校出て、社会に入ってからも「藤堂グループの報復」に怯えて人生過ごす訳か。


性格悪ぃなアンタ。





まぁ、いくらなんでも全員の身内クビにしたら悠紀仁も気付く。……アイツは他人に関してだけ勘がいいから。

警告はその名の通り脅しでしか無いんだろう。

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あきゅろす。
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