過去拍手
Please say that it is a lie!B
「ちょ、ちょっと土方さん!」
昼間の少し暑いくらいのコンクリート道路をスタスタ歩く。
きゃあきゃあ走る子供を抜かし、人気のない河川敷に出る。
7センチ上の彼の気持ちが分からなかった。
やっと止まったかと思ったらくるりと振り向く。
真剣な顔。
何だろうと見つめ返した。
「あんま、軽くキスするとか言うな」
「は?」
「分からんならいい」
「いやいや分かりますけど、何ですかィ?俺のこと心配してんですか?」
そりゃあ傑作だと笑うが心の中では笑っていない。
沖田はどきどきしていた。
何だろう・・・この展開。
「そう思いたいならそう思え」
「っ、やです!何ですかィもっとはっきり言ったらどうですかィ!」
「う、いや、言葉で言うのは苦手なんだがな俺・・・」
「なら行動でも何でも移してみせてくだせェよ!」
「いいんだな?」
引き寄せられて抱きしめられた。
「へ」
ぐっと綺麗な顔が近付いて、ときめく暇も与えずに唇同士をくっつける。
んむと声が漏れる。
目をつぶり隊服を握った。
「は、何」
「行動に移せって、言ったろ」
「嫌、やっぱ、言葉がいい」
ふるりと首を振り、真っ赤な顔でそう願う。
期待と不安が混ざって心臓にのしかかる。
どうかどうかと思うなら、やっぱり期待しているんだろうね。
「我侭だな
好きなんだよ」
くちゅりと今度は舌が入ってきた。
たまらず目を瞑る。
今度はときめく余裕があった。
好きなの俺のこと。
そう思う余裕も。
「ん、はっ」
「好きだよ」
嘘だと言って!
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