Short
■ 紅潮
骸×雲雀/甘/秋っぽいの。
暖かな昼下がり
暑い夏が終わり心地良い気候になる。
校内の見回りをしながら窓の外を眺めると、木々が緑から赤黄茶と紅葉し始めるのが目に入った。
ああ…もう秋なんだなとか清美委員会に落ち葉の掃除をさせなくちゃとかたわいもない事を考えながら、応接室に向かう。
ドアノブに手をかけようとして動きを止めた。
そっと耳を澄ませると沈黙の中から聞こえる僅かな息の音。
誰かいる。
察しはついてる。
いつものことだ。
最近は…毎日かな?
僕は動きを再開させて部屋に入る。
ソファの上には思い通りの人物が寝ている。
「また…。」
秋になって気温も下がりつつあるのに、窓も開けっ放しでTシャツのまま寝ている。
何かかぶせる物は…と思ってキョロキョロと辺りを見ると僕が使ってる膝掛けが目に入り、そっと被せた。
さて仕事しなくちゃと思って戻ろうとしたら手をグイッと引っ張られて倒れ込んだ。
「…起きてたの?」
「はい。雲雀くんの足音がしたので。」
「寝たふりしてたの?」
「そうです。」
「何かムカツク…。」
「目覚めのキスぐらいしてくださると思ってたのですが?」
「バカ…する訳ないよ。」
「……でも膝掛け被せてくれました。」
僕はバッと骸をふりかえる。
こっちを向いてにやにやする骸を見て、顔に血が上るのを感じた。
恥ずかしい…。
「そんな可愛い反応しないでください。」
「しっしてない!ていうか勝手に僕の部屋に入らないでくれる?用がないんなら帰って。」
慌てて立ち上がって骸から距離をとろうとしたらまたグイッと引っ張られる。
背中に温もりを感じて驚いていると後ろから手が回りギュッと僕を抱き締める。
それから肩に顔が乗っかってきて耳元で囁く声。
「嬉しかったんですよ?ありがとうございます。」
骸はそう言って首筋にキスをする。
「…僕だって骸が来てくれて嬉しい。」
「くふふっ雲雀くん耳まで真っ赤です。」
紅葉…紅潮…。
骸といればいつもこの調子。
「大好き」なんて言えない。
ああ…僕まで秋に染めらてる。
窓から見える紅い木々を見て思った。
END
→みなさん!秋ですねえ(何
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