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拒絶はいやなの

このんは跡部たちの案内で部屋に着き、別れてからもひよこリュックを背負ってテコテコと船内を歩き回っていた。

「♪るりらーるりらー、
この歌声はー、誰のーもとへーと届くのかなー?」

某歌ロボットの歌を歌いながら歩いていると、黄色のジャージの少年たちが見えた。

「言葉ーという鍵を手に入れー開くー、みーちのとびーら♪」
柳生「おや?あの方は…」

柳生がいち早く気付けば、皆が少女に目を向けた。

幸「フフ、歌声が聞こえると思ったら、やっぱりあの子だったのか。」
「るりらーるりらー♪
…?、えっと…?」

幸村たちを見上げ、誰だっただろうかとこのんは首を傾げる。
挨拶の時は日吉たちの方ばかり見ていたので気づいていなかったようだ。

丸「あの時のちびっ子マネージャーじゃねーか
なにしてんだ?」

丸井が目線を合わせるようにかがめば、このんはどうしよう…とオドオドし始めた。
その様子に気付いたのか、柳が少女の頭を撫でてやる。

「!」
柳「ゆっくりでいいから話してみろ。
俺たちは合宿に参加するテニス部だ。」

どのような集団かわかり安心したのか、ゆっくり話し始めた。

「えっと…、えっと…、
お散歩…しながら、ホール向かってた…です。」
ジャ「俺たちも向かうし、一緒に来るか?」
切「え゙ッ!?」

このんが話せばジャッカルがにこやかに尋ねた。
それに反応したのはこのんではなく、赤也だった。

真「何か反論があるのか?赤也」

赤也に皆顔を向けた。

切「だって、ミーハーかもしれないッスよ!?
俺たちとこうやって会ったのはコイツの策略かもしれないですしッ!」

女子にいい印象を持っていなかった赤也はこのんを睨みつけ、拒絶した。
少女は冷たいその目線にビクッと反応し、怯えた。
が…

「…いや、ならいらない…です。
いっしょ、いや…。拒絶しない人…探す、です。
睨まれること、してない…、のに、睨まれた、いっしょいや。」

怯えながらも、言葉をなんとか紡いだ。
それは、拒絶する赤也に対する拒絶だった。

切「な…っ」
「…誘って、くださった、嬉しかった。
ありがとー…ごさいました。でも、ごめ…なさい」

ぺこりと頭を下げれば小走りでこのんはホールへ向かっていってしまった。

丸「…ダメじゃねーか、赤也。
暁来逃げたし。嫌われたんじゃね?」

茶化すように丸井が赤也に言う。

柳「普通に言葉を繋げれば、《睨まれることを自分はしていないのに睨まれたから一緒にいるのが嫌だ》、といった感じか。
幼子のような嫌われ方だな、赤也。」
仁「ちびっ子らしいのぅ。」
柳生「大丈夫でしょうか…?
怯えていましたし…」

柳が冷静に解釈し、仁王が愉快げに笑って、柳生が少女を心配する。
赤也はムッとしたが、少し反省したのかシュンとなる。

切「…ミーハー、じゃなかったスかね…?
やっぱ、睨みつけたのいけなかったッス…」

そんな赤也に幸村は苦笑した。

幸「多分、柳や仁王の言うような嫌い方をしただけだと思うよ、彼女は。
俺の妹も、あんな嫌い方するし。
いきなり睨まれたらそりゃあ、怖がるよね。特に彼女のように怯えやすい子は。
謝ったら、きっと大丈夫だよ。」

とりあえず、早くいこうか
と幸村が言えば、皆が頷き少女や他のテニス部が集まっているであろうホールに向かった。

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