[携帯モード] [URL送信]

絡繰-カラクリ-
目が覚めた場所


『俺は何もしてねぇよ!』

ふと、そんな声が聞こえて、少しだけ目を開けた。

目を開けて初めて、自分が眠っていたのだと悟る。

「はぁぁ…」とため息のような声が聞こえて、ぼんやりとする頭で声のした方に顔を向けた。

「あ」

「……!?」

ガバッ

覗き込む人物と目が合って、慌てて起き上がった。

反射的にさっと後ろに下がる。
腰を落とし、両手に武器を構えた。

「あれ、逃げられた…」

「何やってんだバカ!」

「俺ぁ何にもやってませんぜ、シスイさんじゃあるまいし」

「んだと、このやろ…っ」

「………………っ?」

誰だ?
この人たちは、なんだ。

私…は。
なんでこんなところにいるんだろう。

はじめに目に映ったのは、くせのない朱色の髪に、深い金色の瞳。前髪はやや長めで目にかかっている。

そして、朱色の彼が振り返った先から顔を出したのは、暗い翠がかかった髪を肩の辺りで一つにまとめ、目付きの悪い紫色の瞳を持った人物だった。

「つーか、こんなことしてていいんですかぃ?さっきから彼女、警戒心丸出しですぜ」

「………あぁ、そういや…」

「………っ」

不意に、息が詰まった。

紫の瞳にギロリと睨まれるように見据えられて、あの男たちの目を一瞬思い出したのだ。

無意識に、顔をしかめてしまう。
そんなことには気が付かず、彼は考え込むように口元に片手を持っていき言った。





[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!