絡繰-カラクリ- 目が覚めた場所 『俺は何もしてねぇよ!』 ふと、そんな声が聞こえて、少しだけ目を開けた。 目を開けて初めて、自分が眠っていたのだと悟る。 「はぁぁ…」とため息のような声が聞こえて、ぼんやりとする頭で声のした方に顔を向けた。 「あ」 「……!?」 ガバッ 覗き込む人物と目が合って、慌てて起き上がった。 反射的にさっと後ろに下がる。 腰を落とし、両手に武器を構えた。 「あれ、逃げられた…」 「何やってんだバカ!」 「俺ぁ何にもやってませんぜ、シスイさんじゃあるまいし」 「んだと、このやろ…っ」 「………………っ?」 誰だ? この人たちは、なんだ。 私…は。 なんでこんなところにいるんだろう。 はじめに目に映ったのは、くせのない朱色の髪に、深い金色の瞳。前髪はやや長めで目にかかっている。 そして、朱色の彼が振り返った先から顔を出したのは、暗い翠がかかった髪を肩の辺りで一つにまとめ、目付きの悪い紫色の瞳を持った人物だった。 「つーか、こんなことしてていいんですかぃ?さっきから彼女、警戒心丸出しですぜ」 「………あぁ、そういや…」 「………っ」 不意に、息が詰まった。 紫の瞳にギロリと睨まれるように見据えられて、あの男たちの目を一瞬思い出したのだ。 無意識に、顔をしかめてしまう。 そんなことには気が付かず、彼は考え込むように口元に片手を持っていき言った。 [*前へ][次へ#] |