絡繰-カラクリ-
微妙な違い
さらりと朱色の髪が揺れて、目にかかる。
「俺の名は凪坏(ナツキ)。五十嵐 凪坏でさ。以後お見知り置きを…ね?」
「五十嵐さん?」
「いや、皆名前で呼ぶんで、ナツキでよろしく」
「あ、はい。ナツキさん…でいいですか?」
「ん、上出来。さ、次はアンタの番ですぜ」
振り向いて、ナツキはすっと場所を譲った。
その一連の会話を黙って聞きながら、シスイは無言で考える。
…やはり。
彼女は、ナツキと話す時と、自分と話す時とでは微妙に態度が違うのだ。
自分は昨日そんなに彼女を恐がらせただろうか…。
確かに、昨日は丸腰の身で刀身を折って飛ばしたり、手の平だけで相手を吹っ飛ばしたり…した…が…。
――あれ…、もしかして…、十分恐がらせること…してるか…?
「……あの、シスイさん?」
「……、あ、なんだ?」
ナツキに訝しげに尋ねられ、はっと我に返る。
「次、シスイさんの番ですけど」
「あ、そうだな」
まぁ、今は深く考えないこととしよう。
シスイはそこに胡坐をかいて座り、安心させるように慣れない微笑みをかけて口を開いた。
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