桜界逸史
国を想い
出発まであと二日。
その間、向こうは大丈夫だろうか。
俺が向こうを離れて、一週間はたっている。
悩みは絶えず、統虎を押し潰した。
知らせが入らないのはいい知らせだと言うが、不安なのには変わりが無い。
志國の前ではできるだけそういう態度はとらないようにはしている。
しかしそれによってストレスは溜まる一方だ。
あぁ、違う。それでは志國が悪いようではないか。
悪いのはすべて、俺で…
「くそっ…」
与えてもらった寮の部屋で悪態をついてベッドに座る。
と、いきなりドアが開いた。
「よぉ、元気か」
目を向けると、志國だ。
統虎はなるべく声を明るく保って答えた。
「あぁ。何の用だ?」
「おぅ。おめぇに見せたいもんができてな」
意味ありげに笑った志國を怪訝な顔で見た。
なんだ…?
分からないまま、部屋を連れ出された。
友に改めて感謝することになるのはほんの数分後のことである。
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