桜界逸史
かけ離れた存在が
お前はいつも。
気が弱く、貧乏だったから、いつも誰かに苛められていたんだ。
「おまえらっ!またか!!」
「げっ!にげろ!」
「だれが、にがすかっ!!」
そう言って、捕まえて殴りかかろうとすると。
「まっ…て、くださいっ…!」
「………っ!?」
必ず、お前は俺を止めた。
「っ〜〜!!なぜだ、狐優っ!コイツらはおまえに…っ!」
「いい…んです…」
「なぜ!?なぜなんだ!?おまえ、くやしくないのかっ!?」
「統虎…」
「おかしい…ぜったいに、まちがってる…」
「統虎」
「っ…くそっ…!」
孤優はいつも、俺を止めた後。
「なんで…、そんな顔ができるんだ…。孤優」
いつも、笑っていた。
「君が」
たすけてくれるからです。
そう言って笑うから。
俺にはそれ以上何も言う事が出来なかったんだ。
だから…、あんなにも憎しみからかけ離れた存在だったお前が。
こんなにも何かに対して憎悪を抱くようになってしまったのは…。
俺のせい、なのだろうな。
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