桜界逸史
作られた世界
隊員たちの所へ行くと、きっちりと整列して待機していた。
「うし、やるか」
「各班それぞれ、カプセルへ移動!」
海神の声が響き、全員がそれに従った。
「見てろよ、絶対俺の班が勝ってやるからな」
「せめて、俺たちと言ってくれ」
そんな海神の突っ込みを無視し、摂陸は弥泉に突っ掛かった。
「降参したら見逃してやらんでもないぜ」
「あのねぇ、アタシの班をバカにしてんの?」
弥泉の言葉に摂陸は、あー大丈夫、大丈夫ー、と台詞を棒読みにしたまま片手を振る。
「俺は今までお前を見てて「うわ、こいつバカだ」とか「子供か!?」とか思ってバカにしたことなんて、これっぽっちもねぇから」
「はい、あんた確信犯決定ね、フルボッコも決定だわ」
「なぜばれた!?」
「お前わざとやってるだろう。いい加減にしろ」
海神がデコピンの態勢に入ったので、すかさず避ける。
うん、避けるのだいぶ上手くなったぞ、俺。
海神の呆れた舌打ちを聞きながら、そんなどうでもいいことを考えた摂陸の背中に声が掛かった。
「ほら、そんな所でもめてないで早くやらないかい?」
空雉がカプセルゲートの前で手招きをしている。
いつの間に…。
そう思っている間に、空雉はさっさと中へ入ってしまった。
「じゃ、せいぜいフルボッコ楽しみにしてなさい」
「返りうちだ、見てろよ」
「いくぞ、摂陸」
摂陸と海神は、空雉と弥泉が入った方とは逆のゲートに足を踏み入れた。
慣れた手つきでカプセルに入って、準備万端だ。
それをしっかり確認して、志國はスイッチを押した。
バシュッ
一瞬の闇。そして……。
作り出された世界が広がった。
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