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桜界逸史
壊れてもなお


「おー海神!お前も賛成だよな」

「何にでしょうか…?」


戸惑う海神は事情を説明され、すんなり頷いた。

「志國さんが言うのなら」

ということらしい。

海神言葉をはじめとし、周りも次々と賛同の意を示した。

「統虎さんの気分転換になるなら、俺は賛成だよ」

「私も、志國様が言うなら」

「………志國は気に入らねぇけど、統虎さんには世話になったしな」

例の機関銃をちらりと思い浮かべ、摂陸も頷いた。

「スマンな、じゃあチームはコレでよろしく」

差し出された紙を見て。

「どこがいいチームだよ、テメェ!」

摂陸の志國に対する叫びに顔をしかめたのは海神だった。

「悪かったな、オレで」

紙には、「海神&摂陸チーム VS 空雉&弥泉チーム」と志國の角張った字でかかれていた。

「あーあ、お前をボッコボコにする計画が無駄になったじゃん」

「お前…、言わせておけばぬけぬけと…。まあいい、どうせ、そんなもの成功していないからな」

「うっわ、ムカつく!」

いいつつ、引っ掛けたのは摂陸自身なので、それ以上噛み付かない。

つもりだったが、止めた。

「ふん、今回は見逃してやるよ。自分の運に感謝するんだな」

「今、お前とチームになったオレの運を呪ってるところだ、邪魔するな」

「このやろっ!黙って聞いてりゃ…」

「黙って聞いてくれ」

「だぁああぁ!」

摂陸と海神が言い合っている…というより一方的に摂陸が負けている間、弥泉と空雉は二人を見ながら顔を合わせた。

「なんか既に仲間割れ発生してるんですけど?」

「これ、勝負になるのかしらね…」

「んー、でもあの二人、言い合いつつ実は息ピッタリだからねえ」

「マジで?あれで?」

「あれ、知らない?弥泉は二人のコンビ見たことなかったっけ。アイコンタクトとかしないんだよねー。そんでビックリするぐらいピッタリなんだよ、コレが」

言いながら、空雉は苦笑した。

歯車が壊れているんじゃないかと疑いたくなるぐらい全く噛み合ったことの無い二人が、戦いだすと息ピッタリなのだ。

世の中には不思議なことが多いというが、そんなものの比ではない。

どーなってんだろうねえ、君たちは…。

空雉は苦笑いのまま、二人の言い合いを眺めた。

俺は…

空雉が小さく何かを言った気がして、弥泉は何となく聞き返したが、何のことだい?と笑って言われ、次の言葉を飲み込んだ。

その笑いが、どこか淋しそうだったと感じたのは…。

気のせい…?

さすがの弥泉にも、空雉にそこまで問い詰める話術と勇気は備わっていなかった。





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あきゅろす。
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