桜界逸史 組み手のシステム 組み手 と言っても実際に体を動かして戦うわけではない。 正式名称は「バーチャル実践シュミレーション・3D戦闘トレーニング」…と、かなり長く、桜界の最新技術をめいっぱい詰め込んだ、最新式のトレーニングシステムである。 このシステムがフロアの室内いっぱいに取り付けてあるのが、『競技場』と呼ばれる設備で、そのフロアは二階にある。 ちなみに一回は普通の室内競技場だ。 それぞれ専用の狭いカプセルに入り、中の『型』にきっちりと手足をはめ込んで、後は誰かがスイッチを押せばスタートだ。 コンピューターが脳の感覚神経にニセの電気信号を送ることによって視覚、聴覚、触覚、嗅覚などのさまざまな感覚をバーチャル・リアリティとして再現できる。 武器を実際に持つわけではないので傷つく心配は無いが、武器、例えば銃器のような重量感のある物の重さも分かるようになっているし、攻撃に当たればそれなりに痛みがある。 正式な試合をするときのルールとしては、個人個人として域値以上の攻撃を三回以上受ければ負け。 それ以外に、これといったルールは無い。 一度組み手を始めると、途中で止めることも、一度戻って休憩することも出来ない。 だからこのシステムの外に出る方法は、三回以上、一定の攻撃を受けるか、相手を全員負かして勝利する以外に無いのである。 今回の組み手の形式は『タイプB−α』を使用する。 これは、大人数の陸上戦をシュミレートしたいときのためのものだ。 拠点となる基地を、本部、支部の二通りに分け、 本部を一か所、支部を三ヶ所設置する。 本部の場所はランダムに支部の場所は好きなように配置が可能だ。 今回の統虎の依頼は、戦車、戦闘機などの重機を導入しない、ある意味異例の戦闘依頼なので、シュミレートでも同じようにすることとなった。 [*前へ][次へ#] |