子犬みたいな君。


 さて、今日はなにをしよう。お昼ご飯の惣菜パンも食べちゃったし、あと四十分ぐらい時間がある。
 別に友達がいないわけじゃないの。でも、今日はなんとなく地面に座ってピクニックしたい気分だったから。――最近はなかなか一緒にピクニックしてくれる人いないんだよね。地べたに座るの嫌みたい。

「か、なちゃんっ!」
「あ、霧島くん」

 声が聞こえて横を向くと、同じクラスの霧島くんが走ってきた。手にはハンカチでくるんだお弁当と飲み物。

「はぁっ……あの、篠崎さっ、に、かっかなちゃんが、はぁ、一人でピっクニックして、って、聞いて」
「うん、深呼吸しようね」

 ご、ごめん。って霧島くんは少し戸惑い顔でわたわたして、それから息を整えた。

「香奈ちゃんが一人でピクニックしてるって篠崎さんから聞いて、それで、その……僕も一緒に、いいかな?」
「リカちゃんに? うんっ、一緒にピクニックしよ!」

 わぁ、ピクニック仲間が出来たっ! 下を向いて、けど少し必死になりながら一緒にピクニックしたいって言った霧島くんは、私と同じように誰かとピクニックしたかったけどする人が居なかったんだと思う。


「それで、香奈ちゃんは食べちゃったと思って、コレ……」
「わっロリポップ。霧島くん、ありがとう。私、凄い好き」

「えぇっ!? すっ好き?」

「うんっ、コレ美味しいよね」
「あ、あぁ……香奈ちゃんは何味が好き? 何種類か持ってるんだけど……」
「おおう、たくさん出て来たっ。霧島くんのポッケは魔法のポッケみたいだね」
「そ、そうかな……」

 あ、霧島くんが照れてる。



子犬みたいに可愛いくて

(ど、どれがいい?)
(じゃあ、蜂蜜プリンとチョコレート宇治抹茶!)
(えっ、それだけでいいの? あ、ってゆーか全種類あげるよ)
(わはっ、霧島くん大好きっ!)
(――ッ!?)
09.08.09


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