元拍手 なぜか週末前の再会劇 お互いに言えない秘密はいつまでも隠し続けられる訳がなかったんだ――― * * * きっかけはほんの些細なこと。 山本は放課後女子に呼び出された。 オレはいつもの事だから、告白された事自体は特になんとも思わなかった。 山本はいつも告白されても野球を理由にやんわり断って、決して誰とも付き合ったことがない。 俺達はなんだかんだいって14歳だからそろそろ初恋だって経験してるんじゃないかなぁ? じゃあ山本が今好きな人、または前好きだった人くらいいるんじゃないかな? いったい誰なんだろう……? 好奇心と不安と期待。 残念ながら今俺が好きになっちゃったのはよりにもよって、男の人でおまけに大の親友だなんて誰にも言えるわけないんだけどね。 放課後の教室に今俺は一人きり。 呼び出した女の子の用事が終わったら、昇降口で待ち合わせして一緒に約束になっている(用事っていうのは十中八九告白なんだろうけど) 獄寺君というと今日はかったるいとか言って帰っちゃったし、教室にはオレ一人だから教室を独占した気になってみたりする。 ―――つまり、今は俺を見てる人がいないんだ。 山本の引き出しの中をちょっと拝見することにした。 意外と何か面白いものがあるかもしれない。 * * * ―――期待は大きく外れた。 見つかったのは教科書とノートと並盛牛乳ストラップだけだった。 「なーんだぁ……」 仕方がないのでとっとと引き出しの中に全部元通りしまいこんで、昇降口に向かうつもりだったはずなのに。 バサッ つい手を滑らせて、ノートを一冊落としてしまった。 どうやら数学のノートのようだ。 文字より落書きが多いのが山本っぽいけど。 慌てて拾い上げようとする手はノートを拾う寸前で静止した。 「う、うそ……、だよね……?」 オレはこの現実を受け止められずにしばらくその姿勢のまま固まってしまった。 * * * 手から滑り落ちた際に 開いたノートに書いてあったのは (小さな小さなあいあい傘) [*前へ][次へ#] |