非日常的な日常
1
僕が一目ぼれなんて……。
信じられません。
空音って言ったけ?
あいつはなんでわざわざ俺をかばってあんな目に……。
今日は本当に災難だよ!
骸達だけでこっちはいっぱいいっぱいなのに、更に正体不明のパジャマの女の子が二人も現れるなんて…!
Action.3
〜二人の来訪者と恋の始まり〜
「その甘さが命取りだ」
その名セリフであたしは目を覚ました。
「…………」
えーっと……。なんでこんな廃墟で骸の声がするんだろ……?っていうかそもそもなんで僕はこんな廃墟で寝てるんだ?
いまいち意識がはっきりしないあたしに話しかけて来たのは、
「ようやく起きたか」
リボーンだった。ん………!?
「思い出したぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「「……!!?」」
ガバっと起き上った理沙の声に文字どおり死ぬ気でバトル中の二人も驚いて、動きを止めた。
「……目が覚めたのか…」
「クフフ……、あまりに突然でしたのでさすがに僕も驚いてしまいましたよ」
変な空気になってしまい、理沙は我に帰る。
「あ……」
「そのKY加減は空音にそっくr「そう、空音だ!!」……空音がどうかしたのか」
しかし空音の名前を聞いた途端やっぱり理沙の顔色が変わってしまった。
「空音がこっちの世界に来てるって聞いたんだけど!何か心当たりないかっ!?」
「空音なら確かに降って来たぞ」
「降って、ですか……?」
空音のことを知らない骸は首をかしげた。
「空音は、空音は無事なのか!?まさか手ぇ出してないよな!?」
「空音は俺達のファミリーにした。もちろんお前もだぞ、答えは聞いてねぇ」
どこかで聞いたセリフを言われた理沙は、違う違うというようにリボーンに質問する。
「そーゆーことじゃなくて!空音の安否!」
リボーンの代わりに口を開いたのはツナだった。
「空音は……、山本を助けようとして……身代わりになった。今山本と一緒に休んでる」
「はぁぁ!?ってことはあんの山本オタク大丈夫なの!?」
「命に別条はない……少し休めば大丈夫だ」
「そう、かぁ」
そこでようやく体の力が抜けて、ペタンと座り込んだ。
「おい……!」
心配してわざわざ歩み寄って来てくれたツナを、改めてかっこいいなとわずかにときめきを抱きながら、大丈夫と言った。
「ちょっと疲れただけ……」
そういうと理沙はバタッと倒れてしまった。
「Zzz……」
「おや、寝てしまったようですね……」
「こいつどうやら相当疲れがたまってるらしーな」
「……リボーン安全な所に移動してやってくれ」
「しょうがねーな」
リボーンはコクリと頷いて、理沙を引きずりながら部屋から出て行った。
「では一時中断してしまいましたが、再開しますか」
「ああ、本気で来い」
そうして二つの炎は再び激しくぶつかりあう―――
* * *
激しいバトルの末、勝利を得たのはツナだった。
「終わったな」
リボーンが静かに今度こそ終わりを告げた。オレは頭の炎を消し頷く。
「……うん」
オレの心の中では安堵感と疑問と不安がいろいろごちゃ混ぜになって渦巻いていた。
まずは骸を無事倒せた安堵感。
今日空から降ってきてリボーンがいきなりファミリーに入れちゃった空音ちゃんと、空音ちゃんの心配をずっとしていた女の子は何者なのかという疑問。
そしてこれから空音ちゃんを含めて俺達はどうなるんだろうという不安。
だって俺達は確かに、こっちの世界に踏み込んでしまったから……。
「!そうだ!骸、死んでないよね!?!」
心配になって骸に駆け寄るとふいに聞こえた声。
「マフィアごときが骸さんに触るんじゃねぇ!」
―――骸たちの今までの道のりはとても残酷なものだった。
骸たちがエストラーネオにいたときの気持ちなんてとても俺には想像もできなくて……。
城島達が骸に忠誠を誓うのもわからないわけじゃない。
でも、やっぱりオレの居場所はここなんだ―――
ガチャン!
そして突如現れたのはマフィア界の掟の番人だった―――
リボーンの様子からしても相当やばい奴ららしい……。
ずるずると引きずられる骸の口だけがそっと動いた。
「短い、時間でしたが、面白かった、ですよ……Arrivederci―――」
そう言って霧と共に消えた骸はうっすらと目を開き、最初に理沙と出会った場所を見て微笑んでいた。
「…………?」
オレにはその言葉の意味はわからなかったけど、リボーンはニヤリと面白いものを見つけたとでも言うように笑っていた。
(骸の奴……なるほどな。こいつはおもしれー展開だな)
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