非日常的な日常
2
こうしてツナたちのもとに平和な日常が戻ってきた。
もっとも、『戻ってきた』という表現はツナ達だけに当てはまり、空音と理沙にとっては始まりにしか過ぎなかったのだが。
「……?」
「あ、目を覚ましたんだね!よかったー!」
理沙が目を覚ますと目の前にはあこがれの存在がいて、ホッとしたように笑っていた。
「そか……、トリップしちゃったんだ……。」
「?とりっぷ?」
「あ、なんでもない……ってええぇ!?」
理沙の手には大きな黒光りする鎌が握られていた。
「それ、君の持ち物だよね?ずっと握ってたから」
そういえばクソ神に武器は鎌にするわとか言われたっけ?
「あ、これたぶんあたしの武器……」
「(うわーまた物騒な……)」
っていうかツナかわいいなー。ツナとまさか話ができるなんて夢にも思わなかった。
「むぐぅ…」
ふいにツナの背後から聞きなれた声が聞こえた。
「!!!!空音っ!」
あたしはベッドから転がり落ちるように這い出るとツナの脇をすり抜け
バゴン!
空音の寝顔の直ぐ脇にこぶしを突き立てた。
「ひぃ!!」
「うがぁあぁぁぁぁ!!!???」
さすがの空音も驚いて飛び起きた。なんでかって拳がベットを貫通していたら無理もないだろう。
「って理沙じゃん!?何これどーいうことぉぉぉ!?」
「ふふふふふ……、あんたがトリップなんて愚かな行為をしたおかげで、めっちゃ心配したし、挙句の果てには巻き込まれたし!どう償ってくれるというんだ君は!」
ぎゅぅぅぅぅぅ!!
「うぐぐぇ……ご、め、ん……」
「理沙ちゃぁぁん!?」
セリフの途中から空音の首を締め始めた理沙、に焦るツナ。
ようやく空音を開放して一言。
「次に突然消えたら殺すからな」
「「殺人予告ーーー!!!!!!」」
さすがの空音も真っ青だった。
「ごめんなさいもう二度としません」
土下座して謝る空音を見ていたツナは見てはいけないものを見てしまったという気分だった。
「ん、そういえばあんたそんなかわいいパジャマ持ってたっけ?」
「あり!?」
空音のパジャマはカエル柄から女の子らしいパジャマに変わっていた。
「って理沙もだよ!」
「ぎゃぁぁぁぁ!似合わねぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
顔が真っ青(赤ともいう(じゃあ紫じゃね?))になる理沙。
「理沙ちゃん落ち着いて!空音ちゃんも錯乱してゴミ箱被らないで!」
(ジーン……、ツッコミ仲間が増えた……!嗚呼よみがえる記憶……)
理沙「ちょ、あんたそのままの格好で学校できちゃったの!?」
空音「ん?」
友A 「アハハ、空音らしくていいんじゃない?」
理沙「よかねーよ!どこに骸のヴィッグ被って学校に来る奴がいるんだよ!」
空音「いけなっ!帽子と間違えた!」
友B「ぎゃはは、ひぃーっ!空音めちゃウケる!」
友A 「これいっそ流行にしようか!」
友B「おお!それにさんせー!明日からあたし達も被ってこよー!」
理沙「止めろぉぉぉぉぉぉ!」
(空音だけでも十分なのにそれに悪乗りするクラスメイトとかあり得ない…!それなのにこの世界は……!ツナは…!うわ、どーしよさらに惚れたかもしれない!)
「えっと、そのパジャマはハルに貸してもらったんだ(空音ちゃん止めるの大変だった……)」
「うわーっ!なんて恐れ多い!!!……ハルの匂i「黙れ変態」ごめんなさい」
空音ちゃんは理沙ちゃんにまた土下座。
(なんかこの二人の関係性が見えてきた気がする……あれ?いまさらだけど……)
「あ…あのちょっと聞きたいことがあるんだけど…いいかな?」
そういうツナは無意識なのだろうが、上目遣いだった。
「うん、いいけど……(僕達なんてツナ達からしたら謎だらけなんだろうな…、っていうかツナめっちゃかわいいぞ)」
「あ、もっちろんいいよ!(ヤヴェ!ツナかわゆ!萌え!)」
そんなことを言いつつツナは病室に備え付けているパイプ椅子、空音と理沙は理沙のベットに座る。
「君達、そういえばなんで俺達のことを知ってるの?」
「えっとぉ……(正直に言ったらタライが降ってきそうなんだけど……)」
「……?どうしたのさ、空音?」
と、その時だった。
「それは俺の口から説明するぞ」
あらわれたのは最強のヒットマンリボーンだった。
「リボーン!?いつからいたの!?」
「ちゃおっス、ツナ、説明する前に獄寺と山本連れて来い」
その唐突な命令にその場にいたリボーンを除く人間はそれぞれ違うリアクションをとった。
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(オレの嫁キタァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!)」
「ゲッ…!(ヤバイ空音の目つきが変わった…!)」
「はぁ!?」
「俺の言うことがきけねぇのか?」
ツナが抗議の声を上げると容赦なく突きつけられる黒い銃。それにはたまらずツナは逃げるように獄寺と山本の病室に向かった。
ツナが走って行ったあと病室では、
「もっきゅん来る来る来る来る来る来る来る来る!!!萌え死んだらごめんね!でももっちゃんに萌え殺されるなら本望だァァァァァァ!」
「いいから落ちつけ!」
「……おめーらここは仮にも病院だぞ」
「へ?メイト?」
「このキチガイは今すぐにナースコールした方がいいね!」
そんな空音の暴走にツッコミを入れつつ数分経ち、とうとう彼らはやってきた。
「おっス!」
「失礼しまぁす…」
「………………」
(とうとう来ちゃった!空音が暴走す……あ、れ……?)
「っ……///」
空音は理沙の予想に反しておとなしくしたままだった。若干顔を赤らめて。そして隣にいた理沙のパジャマの袖を握りしめる。明らかにいつもとは様子が違う。
(はっ!?もしかして空音……!)
萌えとは違うこの感情の正体は……?
09/07/27
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