非日常的な日常
1
「仕方ないわ、空音と山本武はここに置いていくわよ」
「そ、そんなぁ……、大丈夫、かな?」
「十代目!とっとと本物の骸をぶっ飛ばしてくりゃあいいんですよ!」
並盛ボーイズ+αはランチア、空音、山本を木陰の下に移動させ、骸のもとへと向かう。
「それではいきましょう!骸のもとへ!」
「そうね、この子達をあんまり待たせたくないし」
「珍しーじゃないか、お前らのことだから空音をもっと警戒するかと思ったぞ」
リボーンが言ったお前らとは獄寺姉弟のことだった。
「まぁ、悪い子じゃなさそうだし……、スパイか何かだったとして山本武を庇うことに意味があったとは思えないわ」
「それにこいつ馬鹿ですから、何かあった時には10代目は俺がお守りします!」
(さり気に馬鹿って言っちゃった!)
Action.2
〜ハンガーは時に凶器になる〜
「空音……」
午後9時、空音の母親と電話した後、理沙は家に帰ることにした。というのもその頃には午後8時を回っていたからだ。
家に帰ると両親からお叱りを受け部屋に戻ったのはこの時間になってしまった。
(この現象……、存在が消えるって感じ……。もちろん小説とかでしか見たことがないけど……)
そう、誰も空音を覚えていない、空音はこの世界から跡形もなく消えてしまったらしい。
(悪い夢、だといいな……。疲れた、気疲れした……、まだ早いけど寝よ)
そして理沙も眠りについた。
気がつくと雲の上だった。ベージュの髪をもった女の人、そして自分だけだった。
それはまちがいなく空音がティファナと出会い、リボーンの世界に飛ばされた(落とされた)場面と同じだった。
「こんにちはー、はじめまして!」
「………………」
満面の笑顔であいさつするティファナに呆然とする理沙。
「あら?ノリがよろしくないわね……つまんないわね〜。空音ちゃんとh「空音だとぉ!?」きゃ!?」
“空音”という単語に理沙は顔色を変えてティファナに掴みかかった。
「空音が行方不明なんです!なにか、何か知りませんか!?」
理沙はそのままティファナに問い詰めるように質問する。
「本当にちょっとでもいいんです心当たりありませんか!?」
「あーはいはい……、心当たりあるし教えてあげるからその手引っ込めて」
ティファナがこういうと途端に理沙の表情が変わった。
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「とりあえず掴みかかったまま話すのやめてちょうだい」
「あ……」
言われて初めて理沙は自分がティファナに掴みかかっていたことに気がついたようだ。
「ご、ごめんなさい……」
「わかりゃいいのよ」
(なんかこいつえらそうな奴だ……)
そんなことを考えながら、雲に正座する理沙。
「とりあえず自己紹介するとあたしはティファナ。神様だから」
「はぁ!?(頭大丈夫!?)」
「えっとめんどくさいから短刀直入に言うわね、あなたのお友達はトリップしました」
「トリップゥゥゥゥゥ!?」
「えッと、リボーンね。知ってるでしょう?」
「え、ちょ待ってください!頭大丈夫ですか!?」
つい本音が漏れてしまった。
「失礼ね〜!あたしのことあんまり馬鹿にすると空音ちゃんみたいにここから落とすわよ!?」
「ごめんなさい、僕は紐なしバンジーしたら死にます (切実)」
「じゃあ黙って聞いててちょうだい」
ティファナは偉そうに腕を組むものから、実際理紗はイラつき始めていた。
「とにかく空音ちゃんをトリップさせて、元の世界で問題が起きないように存在を消しておいたんだけどここに約一名、記憶を消し忘れちゃった人間がいるのよ」
「覚えていて悪かったですね!」
理沙の額に青筋が一本できた。
「そんなわけで、あなたもトリップしてもらうわ。そっちの方が都合いいから。いいわよね?答えは聞いていない」
「強制ですか!」
また一本青筋が浮き出た。
「武器は何がいい?うーん、あなたは腕っ節が効きそうだから素手でもぶっちゃけへ平気そうだけど念のため」
「そんなに強そうですか!」
怒りのボルテージは確実に上がっていく!
「とりあえず大鎌でいいわね。貴方目つき悪いし」
ブチッ!
理沙は切れた。
「てんめぇぇぇぇ!目つき悪くて悪かったなぁぁぁ!」
理沙は握り拳をティファナめがけて振りかざす。
バゴッ!
「あ、り……?」
理沙が殴ったものは、人間ではなく(っていうか神?)劣化してボロボロになっていた壁だった。
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