非日常的な日常
2
僕はそろそろボンゴレ10代目が来ると頃合いだと思い、椅子に座ってじっと待っていました。そして突然破壊音がして、そちらの方向を向くと
「あ、り……?」
見覚えがない少女が、壁を破壊していました。
「チッ……逃げられたか……、ティファナめ……次に会った時は容赦しねぇ……!」
ちなみに壁は貫通して隣の部屋まで開通していました。少女は怒っているようで目がギラギラしています。
「次こそ殺る殺る殺る殺る殺る殺る殺る殺る殺る殺る殺る……」
独り言を呟く彼女は、人間道よりはるかに真っ黒なオーラを放っています。別に放っておいてもよかったのですが、そのまま部屋の片隅に置いておいてボンゴレが来たときに僕の邪魔をされてはたまらないので、声をかけておきましょうか。
骸はそっと三叉槍を掴んだ。
「あの……ちょっといいですか?」
彼女は僕に気がついたようです。驚いたのか肩を強張らせて僕を見たとき、たまたま目が合いました。そして彼女は眼を見開きました。
僕は――
ドキン
「……っ!」
まったく、僕らしくないですね、この小娘のどこにドキドキできる要素が……。(これでもツナよりです)
* * *
声をかけられ、振り向くと……ナッポーがいた。
「む、くろ……」
驚きの余り、その名を呟いた。その瞬間骸は急に、睨みを利かせてきた。
「僕の名前をなぜ知っているんですか」
「や、その……」
骸はさすがというのか半端ない殺気を放っている。命の危険を感じた。
「クフフ……そもそも君は何者なんです?僕が一般人をそうやすやすここに入れさせるわけないんですが」
「えっとそのー、うん……説明したら長い?」
トリップしたなんて言えない!っていうか一番初めに会うのが骸って危なくない!?いろんな意味で!
「君はマフィアの追手ですか?そうだとしたら僕は君をここで容赦なく潰すまでですよ。もちろん嘘は僕に通用しませんから」
ますます増した殺気に僕はへたり込んでしまった。そのときたまたま手に触れたのは針金(?)製のハンガーだった。
そして骸は椅子から立ち上がり殺気を放ったまま近寄って来た。片手には三叉槍。
「くくくく来るなぁぁぁあ!!!」
バシィ!
「うぎゃ!」
ハンガーはツナに直撃した。
え……ツナ!?
「つつツナと骸で、骸がツナで、マグロのサンバで、えっとえっと……!?」
一瞬にしてパニックに陥った理紗は何かを呟き始めた。
「君は林であった黒曜生!とこの子は、黒曜生じゃない!?っていうか落ち着いて!」
「クフフな十代目がクフフと南国ダメダメのどわわわわ……」
ツナはパニックの余り意味不明なことを呟いている理紗の肩に手を置いた。
「あぎゃぁぁぁぁぁぁ!!///」
バタッ。
理紗は短時間にいろいろありすぎて頭がショートして倒れてしまった。
「うわわ!?君、大丈夫!?」
「おや?知り合いじゃないんですか?」
「え、まあ、はい……」
「ツナ!こいつ…本物の!」
「そう、僕が本物の六道骸です」
* * *
目を覚ますと、山本の膝の上でした。
「……っ///!?」
慌ててガバッと起きると山本は傷だらけだった。
「……原作は原作か……、そういえば!」
空音はあたりを見回してみた。
ランチアと山本と自分しかいなかった。
「はぁ…………。これ、夢じゃないの?いつになれば元の世界に帰れるのさ……」
若干眉根を寄せたまま寝ている山本チラッと見る。
「本物、やっぱりかっこいいな……襲いたい」
所詮二次元に行こうが変態は変態だった。
「……ま、早く元気になってね」
そういって空音はまたちゃっかり山本の膝の上で目を閉じたのだった。
二人目の来訪者がやってきた
09/6/27
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