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非日常的な日常
1



え!?何これ!?何をどうやったらこんな模様になるの!?



あー、これは僕からしたら多分苦しい展開、だな。



え!?じょ、冗談ですよね……?むしろお願いですから冗談と言って下さい!





Action.9〜黒蝶〜





あたし(空音)が骸様の髪の毛を引っこ抜いておいたおかげで何とか納得させることに成功したので、クロームちゃんも何とか犬達の仲間に入れさせる事が出来た。


「いやー、まさかこんな所で骸様の髪の毛が役に立つとは……」


「僕も同感、っていうか空音が骸に気付かれずに髪の毛抜く事が出来たのが一番のおどろきだけど」


もうすっかり並盛町に戻る頃には日が暮れてしまいパーティーも終わる時間だったので、あたしは沢田家まで理沙を送って山本家に帰ってきた。


「ただいまですー」


「おかえり空音ちゃん!遅かったから心配したぞぉ!」


迎えてくれたのは剛さん。


片付けの途中だったのか袖をまくっていた。


「う、遅くなってごめんなさい……、片付け手伝います」


「はははっ!そんなに気にしなくても、無事に帰って来たならそれでいいってことよ!」


そう頼もしく笑う優しい剛さんを見て、山本君の笑顔は剛さんからもらったんだと思う。


あたしは片付けを手伝うべく靴を脱いで厨房に駆け込んだ。


「空音!公園に行くだけなのに時間かかってたから心配しちまったぜ!」


「心配掛けてごめんごめん!むくr……いろいろと巻き込まれちゃってさ!」


剛さんと同じく心配してくれた山本君に言い訳をしようとしたら口が滑りかけた!(今骸様なんて言ったらさすがの山本君でも変な風に思うよね……(汗))


「まあ、空音が無事ならよかったぜ!」


うおお!この山本君の眩しいハイパーキラキラ爽やかスマイル!何よりもあたしの癒し!この笑顔を見てるとこの世界に来たのも悪くないなんて考えてみたりする。


腕をまくって手伝えることがないか見回してみると、既に片付けは終わりかけてて残ってるのは山本君がやってる皿洗いだけだった。


「山本君、皿洗い手伝う!」


「おっ!じゃあ任せたぜ!ん、そう言えば共同作業って初めてだなー!」


共同作業!?///響き的にドキドキするんですけど!?


「ウン、ソウダネ///」


思わずカタコトになってしまったあたしは山本君の隣に立った。


厨房の流しは広かったので、幸い密着する形にはならなかったけど……、山本君の手に萌える!


「空音ちゃんはいいお嫁さんになれるなぁ……」


そんな空音達の後姿を見て、剛はそう呟くのだが、


「空音!?洗剤使いすぎじゃねぇか!?」


「へ?狽チてあああああああ!!!!!!(山本君の手とか横顔見てたからだ!)」


現実はそうはいかないようだった。


「どうしたぃ!?空音ちゃん!?」


うっかり叫んだあたしに剛さんは心配して慌てて来てくれた。


「あっ!大丈夫です!ちょっと洗剤使いすぎちゃったんです……」


「親父は心配性だなー」


「なっ!武だって人の事言えねぇだろ!」


「そっかぁ?親父、この前娘が出来たみてぇで嬉しいって言ってなかったか?」


マジですか!?まるで嫁入りのようじゃん!?


「う、うるせぇ!武だって空音ちゃんが来た時、妹みてぇで可愛いとか言ってたじゃねえか!」


≪ガチャン!≫


「這狽ネなななんですとぉ!!!???//////」


「柏e父!//////」


あたしは驚いて、つい洗ってたコップを落として山本君と一緒に真っ赤になってしまった。


「いも、いもっ、小野妹子なんてっ!//////」


「ハハハッ、それじゃあ歴史に出てきちゃうじゃねぇか」


「全く……、何でそうバラしちゃうかなぁ//////」


山本君は恥ずかしそうに頬を染めながら額に手を当てて軽く俯いてしまった。


今の山本君、萌えの塊ですよ


「狽ヤっ!(ギャーーーーーーー!!!!山本君!そそそそれはもも萌える!っつうかなんか死ぬ!か、可愛いにも程があるっ!っていうか鼻が熱くなってきた!鼻血出るんですけど!?)」


「空音ちゃん!?鼻血出てるぞ!?」


既に手遅れだったらしい\(^o^)/


山本君に強烈な萌えを感じて悶えてると剛さんがティッシュをくれた。


「でも、妹って言うのはよく考えたら違う気がするんだよなー。ほら空音ってなんだかんだいって俺よりは年上なわけだし、姉ちゃんって感じでもないしな」


「ほぉう……?」


剛さん、ニヤニヤ笑いやめてくれませんか?(汗)


「んー、家族?ダチ?うーん、どっちも違う気がするんだよな……」


えっ?えっ?じゃあほかに何があると?

「あえて言うなら、隣に居たい感じ……か?」



「這狽たしに1000ダメージ!!!//////」


ダメダメ!なんかもういろいろ限界!!ティッシュの赤い染みが更に広がった気がするんですけどっ!!!!心臓が爆発しそうなんですけどぉぉぉぉぉぉ!?


「つ、剛さん……、お風呂はあとどれくらいで沸きますか?」


「あ、それを教えに来たんだったな!もう沸いてるから入っていいぜ!」


「じゃあ失礼しますっ!!」


逃げるように厨房から飛び出していったあたしの後姿を見送った剛さんは一言、


「武も隅に置けねぇなあ……」


「ん?俺がなんだって?」


「いや、気にすんな」




* * *



場所はだいぶ変わってここはイタリア。


あたしはボスの執務室の扉の前に居ます。


「じゃあ、入るよ」


「いきなり物が飛んでくるかもしれないから気をつけるのよぉ〜」


「物飛んでくるんですか!?」


「ししし、時々銃弾の時もあるけどな」


「這煤I!!???それってあたし確実に死にますよ!?」


「その時は運が悪かったって事で」


いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!


ベルの忠告(?)を受けてるとルッスーリアが割って入ってきました。


「やぁねぇベルちゃん!それは一回だけだし、スクが相手じゃないとボスだってそんなことしないわよぉ〜!」


「……いいからいい加減入るよ」


いつまでも話しているあたし達にしびれを切らしてマーモンが言って恐怖のドアを開け放ってしまった。


「っ!」


思わず身構えましたがなにも飛んでくるものはなく代わりに聞こえたのは、


「う゛おぉい!!!!髪の毛引っ張んじゃねぇ!!!!」


「るせぇドカス」


夫婦喧嘩でした……。


って違う違う!これじゃBL!!ええそうですよ、所詮あたしは腐女子ですけど!!


「…………」


ザンザスはあたしに気付いて、人を殺せそうなくらい威圧感みなぎる視線で睨みつけてきました。


「っ!!!」


思わずまた体が硬直してしまいました。


「……マーモン、この女はなんだ」


「どうやら第三夜の一人みたいだよ。武器庫でアルマジロになってた所をベルが見つけたんだ」


「そうか……、他の第三夜は出現したのか?」


「並盛に二人いるようだよ。つまり必然的に第三夜は揃ったって事になるけど」


「並盛……沢田綱吉が居る所か」


………いまいち話の流れが掴めないんですが。


推測するにあたしの事を『第三夜』って言って、他にも並盛に二人いるって事?


……今時間軸的にはどのあたりにいるんだろう……?


「で、この女の名前はなんだ」


「……そう言えば聞いてなかったね」


「あらま〜!」


「しししっ、アルマジロで合ってんじゃね?」


「そんな訳ないでしょ。君、名前は?」


ザンザスの視線がかなり怖かったけど、早く答えないと文字通りかっ消されそうだったので慌てて答えました。


「く、久良木優菜です」


「ハッ……ジャッポネーゼか。それで、この女どうするつもりだ?」


「はいはーい!私に提案があるんだけど!」


突然ルッスーリアが元気よく飛び出してきました。


「なんだ」


「んふふ、この子をメイドさんにしたらどうかしら!!


その時、その場に居たルッスーリア以外の全員の意見が一致した。


「(((((メイド服着せたいだけ(だろ/ですよね))))))」


って言うかメイド服着たくないんですけど!


あたしの心の声なんてお構いなしに、ねっ!いいでしょ?と詰め寄るルッスーリアにザンザスは相変わらずの仏頂面で頷いた。


「勝手にしろ」


「やったわ〜!!じゃ、ちょうど私の部屋にメイド服が何着かあるからお風呂に入ったらそれに早速着替えてらっしゃい!」


「………………はい」


なんでルッスーリアの部屋にメイド服があるんでしょうか?


……ダメダメ!メイド服着たルッスーリアなんか想像しちゃダメダメ!!!!


うっかり考えてしまった気持ち悪い想像をふり払いながら、お風呂場に案内してくれるというルッスーリアの後をついて行こうと、ザンザスさんに一礼してザンザスさんの部屋から出ました。


……最初から最後まで怖い人だった!


そんな感想を抱きつつ、一息つくと、あたしと一緒に出たスクアーロがあたしの肩を乱暴に掴んだ。


「いったっ……!」


「ヤダスクアーロったら!女の子にはもっと優しくしないとだめよ!!」


「けっ、しるか。んなもん」


え、え、え、え……。


思ってたより優しくないです……!


「てめぇ、第三夜なら武器あんだろぉ?なんの使い手だぁ?」


「武器……?」


記憶をたどると確かに武器とか言ってぬいぐるみを投げつけられて……。


あれ?何処に行ったの!?


「チッ、コイツぁ使えなさそうなガキが来ちまったもんだぜ」


……、もしかして、嫌われた……かな。


あたしの脳内でフラッシュバックするのは、あの子達の冷たい視線。


そう、あたしは嫌われ者で、だから嫌がらせをいっぱい受けて、臭くて、ノロマで、キモいって……。


嫌われたくない。


嫌われたくない、きらわれたくない、キラワレタクナイ、キラワレタクナイ……!


「スクアーロ!!!!」


ルッスーリアが声を張り上げて、スクアーロを咎めてくれる。


「全くアンタは!このアルマジr……優菜ちゃんはこの世界に来たばっかりでどうしたらいいのか戸惑ってるのよ!」


「……ケッ」


スクアーロは不機嫌そうに踵を返して歩き始めてしまった。


「ごめんなさいね?優菜ちゃん、スクったらあなたぐらいの女の子の扱いに慣れてないのよ……、後できつく叱っておくから許してやってね?」


「…………」


許すもなにも、第一印象はお互い最悪だったの違いない。


どうせあたしはグズで、お荷物で、邪魔なんだ。結局、こっちの世界でもあたしは嫌われ者なのかな……。


そう思うと涙が勝手に溢れて来た。


「!!!ほーら、泣かないの!スクの言う事なんて気にしなくていいのよ!」


「……グスッ……ご……ごめんなさい……ごめんなさい……」


ごめんなさいと連呼するあたしの頭をルッスーリアがそっと撫でてくれた。


「あなたが謝る理由なんてないのよ?あたしはメイド服の似合う女の子が来てくれてむしろ嬉しいぐらいなんだから」


ルッスーリアの言葉はどこまでも優しかった。


でもあたしはまだ、彼女(彼)を信じる事ができませんでした。


優しさは、ある日突然悪意に変わる事をあたしは知ってしまったから。


「ささっ、あんまり泣いてるとせっかくの可愛いお顔が台無しになってベルちゃんに笑われちゃうわよっ!」


そう言っていまだに涙を流しているあたしの右手を握ってまた歩き始めた。





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あきゅろす。
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