非日常的な日常
1
「ねぇねぇ、理沙は進路調査票なんて書いたー?」
「ああ、あの高校入学早々に配られたやつ?まあ就職にしときましたけど。僕は空音みたいに頭良くないしね」
「ふーん……そっかぁ」
「空音は?」
「まぁ、四年制大学大学だよ。備考欄には『叶うならば二次元世界へ』って書いたけどさ」
「そっかぁ……ってう゛おぉい!?」
Action.0
〜神様のバカヤロォォォォォォォォォー!〜
ボカッ!
「いったぁ!」
「あんたまさかそれ提出とかしてないでしょうねぇ!?」
「え、あ……いけね。消すの忘れてた」
「………………………………」
僕の名は夜乃理沙。
とりあえずこのバカの親友です。
このオタクバカの名前は桃原空音。
これでも中学からの大親友です。
空音が好きなマンガは「それにしても今週のリボーン萌えたよねっ!」……………説明不要だ。
「今週はリボーン五周年で巻頭カラーだしっ!表紙みんな超可愛いし!!!!山本なんか襲いt「黙れ」……ごめんなさいぃぃぃぃぃぃ!」
解説しよう!
今あたしの大親友である理沙が般若の10倍恐ろしい形相で睨んでます。
今の彼女ならXANXUSだって黙らせられるよ!
「はぁ……、あんたいつも学校では自重しろとあれほど言ってるじゃん……」
「ツナかっこいいからいいじゃん」
「そーそーツナはかっこ……ちがうわ!確かにツナはかっこいいしかわいいし最高だけどさ!」
ふっ、理沙はあたしのおかげ(洗脳)でリボーンが大好きになったのだ!
いずれ腐の道を歩き始める日も遠くはない☆←
「あー……ツッコミ疲れたぁ……。もちろん空音のせいで!もー帰ろ?」
「そーですね!」
「なんで関西人じゃないのにこんなに毎日ツッコミばかり……」
「そーですね!」
「……人の話、聞いてないでしょ」
「うんうんそーなのな!」
「咬み殺す!」
これが僕らの日常。
オタク色に染まりつつ毎日楽しくそこそこ平凡に暮らしてる。
空音がいうトリップとかも起こらないし(起きたらびっくり仰天パイナップルだけどね!)
もちろん逆トリップとかいう超常現象も起こらない。
きっと僕たちはこれからも平凡でありきたりな生活を送るんだろーなぁ。
そして高校を卒業したら僕たちはそれぞれの道を歩んでそれぞれの幸せをつかみ取るんだろうね。
今みたいな関係は永遠のものじゃないんだよね。
そう思うとちょっとさみしいかも。
「理沙ー?理沙?聞いてる?起きてるー?生きてるー?あ、それとも18禁の妄s「マキシマムキャノン!!!!!」ぐぴゃっ!」
痛い痛い痛いよ!
理沙が、ボーっとしてたから声かけてただけだし!
手加減ぐらいしてくださいな!
本物だったら二度と鏡が見れなくなるところだったよ!(今もそんなに見れたもんじゃないし!)
「ところでさぁ」
「なに?」
「あんたのうち、通り過ぎてるよ?」
「マジっすか!?」
あたしは慌てて理沙にバイバイと言って家に帰った。
帰ったら何しようかな……同人サイト巡りしようかな?イラスト描こうかな?そんなことを考えながら家に帰るあたしは『あっちの世界』で何が起こったか知る由もなかった。
* * *
今日もなかなか萌える一日だった。
トリップかぁ……
ベッドに身を沈めてふと考えた。
はぁ、ほんとにできたらどんなにいいんだろうかな……。
平凡もいいけどドタバタも悪くないと思う……。
あー…………………やっぱり平凡でいいか。
こうしてあたしは夢の世界へ旅立った。
* * *
雲の上だった。
あたしは雲の上に立っていた。
そしてあたしの目の前にもう一人、白い簡素なワンピースを着てベージュのロングヘアーをした20代前後と思われる女の人がいた。
夢なんだとすぐにわかった(そういえば前に理沙が、夢の中で夢ってわかる人はあんまりいないって言ってたな)
「……どうせ夢なら山本の夢見たかった……」
「ウフフ、不機嫌そうね」
……なんかこの人笑い方がむかつくな…。
どうせウフフって笑うくらいならクフフって笑えよ!
「さっそく質問!Xグローブといったr「リボーン!!!!」…………」
あ、いけね、つい反応してしまった……。
理沙がいたら間違いなくボコ殴りにされる……!(でも夢の中まで殴りに来ないか)
「……………………よ、予想以上にいい反応するのね……。まぁ花マル大合格ってところかしら。そっちの方が都合いいし」
女の人はめっちゃ引いていた。
「それを言うなら『これはうれしい誤算だ』なのに……」
あたしは小声でつぶやいた。
「もうひとつ質問!リボーンの世界にトリップしたい?」
「!そりゃしたいな……ワラ」
もちろん本気じゃないよ、語尾にワラってつけたs「素晴らしい!話が早くて助かるわ!」
……今日の夢はいつも以上にカオスだなぁ……次に来るのは「あたし実は神様なの!」とかか?
「実はね……、あたし、神様なの!!」
…………ワオ!!!!
あの雲雀さんでさえびっくり仰天しちゃうよビンゴ!
「あたしの名前はティファナ!リボーンの世界観を知ってて、トリップしたい人を探してたのっ!
そしたら時空移動してすぐそばにいた人が条件にぴったりとか超ラッキー!そしてあなたも念願のトリップができて超ラッキー☆
じゃあ、あなたの武器は何がいい?」
オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ!!!!!!
話が進みすぎて話についていけませんっ!
「あ、これはもう決定事項ね。夢じゃなくて現実だから」
夢じゃないって言い張る夢ってどんな夢!?(ん?何言ってるんだ自分……?)
まあ最終的には夢なんだから目覚めるまで楽しみましょう!
「えっと、武器は……んー……刀、二刀流とか?」
「はい、けってーい☆あなたにはこの刀をプレゼント☆」
ティファナさんはいつの間にか背後にあった身の丈ぐらいは余裕である大きな袋の中から、漆黒の刀を二対もってあたしに投げつけてきた。
ん……………?
投 げ つ け て き た !?
ねえねえお母さん、二本の刀が空中でクルクルしながらこっちに飛んでくるよ。
え?キャッチすればいい?HAHAHAHAHAHA!!!!!!あたしがそんな高等技術を持っているわけがなかろうが!
体育中学んとき最初っから最後まで1だったんだぜ?ああどうしよう走馬灯が見えるよ……。
なんでよけないのかって?足がすくんで動けないんだよ!!!夢の中でも痛いの嫌なの!はいはいそーですあたしはチキンです!
あーあ、骸様辺りがあたしを助k≪グサッ≫…………\(^o^)/。
「ええっ!?何この残念な子!?そのくらいキャッチできるでしょ!?何脳天に深々と突き刺してんの!?」
返事がない。ただの屍のようだ▼
「死んでもらっちゃ困るのよ……。はぁ、“第三夜”がこれでいいのかしら……」
彼女のため息は誰にも聞かれることがなたった。
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