山本攻略マニュアル
振り返ってくれてもいいじゃない(京→山)
※京子が若干怖いです。
なんでなの?なんで、なんで、なんで?
あたしは並盛中のアイドルって呼ばれて、あなたは並盛中のエース……。
あたしに少しは関心持ってくれてもいいじゃない。
本当は気づいてるんだよ?ツナ君があたしのこと、好きだってこと。
でも、でも、でもでもでも!あたしは山本君の方が好きなの!
みんなにちやほやされる前から山本君が好きなの!
でも、山本君は誰にでもニコニコ、ニコニコ、ニコニコ……。
悔しい、あたしだけに笑ってほしい。
わかってるよ。あたしと同じように山本君もアイドルっていう立場に縛り付けられてる、みんなに同じように笑顔で接していかないとだれかを贔屓にした瞬間、贔屓にした子は、潰される。
特に山本君はそうよね?女の子ってすごい怖いもんね……。
あたしだって例外じゃないもん。
…………ほら、また笑ってる。あの子たちの真ん中で。
安田君、ノートならいくらでも見せてあげるよ。戸村君、おいしそうなチョコわざわざありがとう。花と一緒に食べるよ。石井君、お昼ご飯奢ってくれるの?ありがとう!
……それで、山本君は?
≪山本君!調理実習でクッキー焼いたの!良かったら食べて!≫
≪うまそーじゃねーか!ありがとな!≫
≪あの、旅行に行ったお土産にタオル買って来たんだけど……≫
≪おぉー!かっけーのな!ありがとな!≫
―――――痛い痛い痛い、胸が張り裂けそう!なんで笑うの?笑わないでよ!山本君が笑う度に心臓が止まりそうなの!―――――
≪なんだ、ツナも補習かよ!ハハハ実はオレも補習があってな!また一緒だな!≫
≪おいおい獄寺。そんなに俺を睨んでどーしたんだ?お前も一緒に居残ろーぜ!≫
―――――嫌だ嫌だ!なんでツナ君たちにはそんなに笑うの!?―――――
「……わ………笹川ー!」
「へ?」
やめて、今の醜いあたしに触らないで!見ないで…!
「そんなに難しい顔すんなって!そーだ!このクッキー食うか?あめーもん食ったらちょっとは元気出るだろ!」
そのクッキーは、さっきあの子が山本君にあげたやつだよね?そんなの、要らないよ。
「うふふ、心配してくれてありがとう!」
「やっぱ笹川は笑顔が一番なのな!」
あ、また笑った。今度はあたしに。
―――――ソノ笑顔、アタシダケノ物ニスル為ナラ……―――――
確かに恋だった
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