[携帯モード] [URL送信]

sweet temptation like a box of chocolate<甘い誘惑>
6
電光石火のごとく、猛ダッシュをかました水無瀬と俺はなんとか実習に間に合った。

実習室はさっきと同じ部屋なのだが、今度は10台あるキッチンでそれぞれの班ががレシピに沿ってケーキを作る授業だ。一つのキッチンに4人が振り分けられている。残念ながら水無瀬とは違う班だっが、ゆうかちゃんと同じなのでテンションはちょっと上がる。
あ、ゆうかちゃんはうちのクラスのマドンナ(表現が古い?)的存在な子ね。

「吉岡くん同じ班だね〜」
ゆうかちゃんと仲のいい小林さんが同じ班らしく声をかけてくれる。ゆうかちゃんがシャープな美人系なら小林さんは癒し系美人である。
「ほんとだね、小林さん器用だからラッキー」
「吉岡くん口がうまいんだから、私こそ一緒でラッキーだよ」
ニコッと笑うと八重歯がかわいい。

え?マジですか小林さん、俺はお世辞でも嬉しい。テンションさらに上がっちゃうよ。

「なに、翔ってばそんなに人気だったっけ?」
そう言うのは山口。オシャレ眼鏡くんだ。顔はまぁ、中の上ってとこかな。失礼ですまん山口よ。

「だって、吉岡くんてば緒方さんのお気に入りじゃない!絶対この班に見に来てくれるよ!」
とゆうかちゃんが興奮気味に言った。

あ、そっち?
結構傷ついちゃうよ俺。一瞬めっちゃ嬉しかったのに....。

「ち、ちがうよ吉岡くん!私は吉岡くんが手先器用だからラッキーって意味だよ!」
小林さんがフォローする。

やっぱりいい人だな小林さん。本音はともかく俺はあなたのためにこの実習を頑張ります!

「翔、俺は何よりこの班がビジュアル的に優れていて非常に嬉しい」山口は感慨深そうに言った。
「確かに、小林さんもゆうかちゃんもレベル高いよな。マジで天国」
「まぁ、翔子が一番美人だけどな」
「もうツトムったら、あたし惚れちゃう!」

ひしっ、

「そうだろ惚れてしまえ、平凡メガネなんて言わせないぜ!てか、勉と書いてマナブだけどね!」

ひしっ、


「吉岡くん、浮気してるー。水無瀬くんが泣くよ」とゆうかちゃん。

「それにしても吉岡くん、そのキャラが定着しつつあるね。それってどうなの...」

小林さんのつぶやきは幸い聞こえなかった。聞こえてたら間違いなく凹むよね。



その時ガラッと扉が開き、緒方様が入ってきた。
.....と同時にまた目が合った。もとい、睨まれた。

ほんとなんなの。
山口も若干ビビったらしく、大人しく離れて隣の席に座る。

この一時間、俺は生きていられるのだろうか。甚だ疑問である。






[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!