白銀の昇り龍
仕事場
「まぁ、お前もなんかあったら、俺とかもう一人の新任を頼れよ」
………ん?
『もう一人、いるんですか?』
「ああ。かなり屈強な兄ちゃんが。」
『へぇ』
「ただし、かなりのダサ男」
『………は?』
「ああいうのを【残念】って言うんだろうな」
うわー………今一気にどうでもよくなった。
タッパあってそれなりなら、ウチの組に引き抜こうかと思ったのに。
『ほれ、ここが社会科準備室』
そう言って浜中が指した部屋は、一言で言うなら雑然としていた。
その汚さに、思わず呆然。
固まった俺をいぶかしく思ったらしい浜中は、少々心配そうに顔を覗き込んできた。
「どうした?」
『どうしたもなにも………』
「ん?」
『きた………散らかってますね』
「(……………素直に【汚い】って言えばいいのに。)まぁ、どこもこんな感じだぜ?」
『どこも?』
「ああ」
う、わぁ………(引)
ガラッ
「おや、新任の先生ですか?」
そこに、ひょろい男が入ってきた。
年のころは30才前半。
指輪してるから既婚者だとわかった。
「あ、和久井先生。こちら、新しく赴任してきた大城先生。大城先生、この人が今年1年の社会科を担当する和久井先生」
浜中に紹介されてお互いに挨拶。
和久井は、なぜだか嬉しそうだった。
「さってと。んじゃ、大城先生のデスクを使用可能な状態にしますかね」
『え?』
「え、じゃないだろ。片づけとかないと泣きみるぞって俺、言ったよな?」
どうやら手伝ってくれるらしい。
なんだ、意外といい奴じゃん、コイツ。
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