白銀の昇り龍 とりあえず片づけ その後、浜中と和久井に手伝ってもらいながらこれから自分の領域(テリトリー)となるデスクを片づけた。 とにかく、ものが多い。 前任者が残していった資料だとかが大量にある。 資料は必要だけど、同じものがいくつも必要かって言われるとそれはないから、一部ずつ残してファイリングし、残りは捨てるという、なかなか進まない作業をしていった。 その作業中にもう一人、社会科担当の先生(屋島というらしい)に会ったり。 んで、こちらは和久井よりはずっと身長があって骨格もいいので、遠慮とかなんもなく片づけに参戦してもらったり。 そんな感じでやっていたら、ひと段落した時にはいつの間にか16:00を回っていた。 やれやれ、やっと終わった……と思っているところに限って、残りの2人が社会科準備室全体を片づけたいと宣ったり。 今までこのきったない中で過ごしてきたんじゃねーのかよ………という不満たっぷりの視線を向けても、ビン底メガネが遮ってしまって伝わらない。 「しっかしお前、外見に似合わずなかなか口が達者だし片づけができんだな」 おっと、外見だけ変えたんじゃ意味なかったか? って言っても、なんで変装モドキをしなきゃいけないのか結局よくわからなかったし。 確か………… 【生徒からも教員からも狙われるから】って理由だったと思うが。 少し整理してみるか。 ・俺は変装しなければならず、変装を解いてもいけない つまり、俺が【皇城紅雅】だとバレてはいけないということなんだろう。 だが、こんなところで組関係で狙われるわけねぇし。 それを考えた上で、他の事項を考えてみる。 ・【狙って】くるのは生徒と教員 ・校長は言いにくそうだった上、真相は隠したまま 以上のことからわかるのは、コトを校長は重要視していて、かつ俺にとってそれはとても不利なこと。さらに学校内部のことだということ。 ……………………情報不足だ。 とりあえず、浜中に返事っと。 『片づけができる?』 「ああ。お前、メガネそんなだし、髪も切ってないから、相当なズボラなのかと思ったんだよ」 珍しいものを見る目で俺を見てくる浜中。 この場で、好きこのんでやってることじゃないと叫びたくなった瞬間だった。 ■□ [戻る] |