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白銀の昇り龍
俺は穏やかな先生(暗示)

その後、入学式が始まった。

まぁ、入学式と言っても、真面目にやってんの教師だけだけど。


んで、式は着々と進んで、新任の先生方の挨拶。
つまり、俺らの挨拶。


2人で壇上に上がったところで、場内がシーンとなった。

だが、次の瞬間には大爆笑。


なんで笑ってんのか分からなくて、耳を傾けてみれば。


「ちょ、ちょ、何アレ何アレ!」

「ヤバァ! マヂうけるんですけど!」

「にしてもハンパなくダサくね?」

「2人とも、体は良さそうなんだけど、首から上がナシだわ」

「えー、デカい方、体もなくね?」

「そりゃお前、あの奇跡の着こなしだからわかんねーんだよ」

「まぁ、体良くても顔があれじゃ話にならないよな」

「ってかちっさい方、すげー弱そう」

「黒モッサにビン底メガネっていつの時代だよ」

「まぁ軽く50年ぐらい昔なんじゃね?」



うん。
挨拶する前に怒鳴りてぇ。

んでも俺は穏やかな先生。そうだ、穏やかな先生……。


『皆さん、おはようございます。1年生諸君は入学、そして、2・3年生は進級おめでとうございます。
私は今年度からこちらで社会科を担当します大城紅といいます。
教師業は初めてですが、精一杯頑張っていきますので、これからどうぞよろしくお願いします』

「皆さん、初めまして。そしておめでとうございます。
私は今年度から数学科をこちらで担当いたします西島悟です。
私も教師業は初めてですが、みなさんに数学の楽しさをわかっていただけるよう、頑張ってまいります。
どうぞよろしくお願いします」


俺も西島も滑舌が良い上に、声に張りがある。

西島はなんでか知らんが、俺は組の幹部をやっていることもあって、人に聞かせる喋り方やら人を従わせる喋り方やらを、オヤジや若旦那を見て習得した。


そういったことを、この外見からは想像しなかったのだろうガキ共がポカーンとしている。

は、アホ面だな。


人を外見で判断しちゃいけねぇんだぜ? ガキ共。


弱っちそうに見える黒モッサな瓶底メガネが、実はヤクザの跡取り候補でしたーなんて怖い現実が世の中にはあるんだからよ。


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あきゅろす。
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