白銀の昇り龍 3年C組 入学式も終わって、一度職員室に行ってから西島と浜中と3年生の教室に向かった。 その道中。 「いやぁ、しかし2人凄かったなぁ」 『何がですか?』 「普通ウチの新任の先生ってのは、入学式で驚いちゃってなかなか上手く挨拶できないものなんだよ。 それを憎たらしいぐらいにスラスラとしちゃって」 ってことは何か。このダサダサ兄ちゃんもやっぱり普通じゃないってことか。 「っともう着いた。それじゃお二方、俺はどちらともお隣さんだから、なんか困ったことあったら聞きにきなさいな」 「それでは」 まずはAクラス担当の西島が別れて教室に入っていった。 「じゃあ頑張れよ」 少し歩いて、今度はBクラス担当の浜中。 そして。 俺の目の前には【3―C】の文字が。 腹を決めて、ドアを開ける。 『皆さんおはようございます』 シーン………… この効果音だと誰もいないと思うかもしれないが、実際には全員揃っている。 しかも俺の予想を裏切って、全員着席。 うわー、なんか肩すかしくらった気分。 ああでも、ガンつけてきてはいるわ。 『入学式でも自己紹介しましたが、私の名前は大城紅です。今年度、このクラスの担任をすることになりました。 よろしくお願いします』 「せんせー」 『何かな? ええと…』 「佐久間」 『佐久間くん』 「俺ら、センセと仲良くなりたいから、もうちょっとくだけた感じで喋ってよ」 どう見たって「仲良くしたい」は嘘だろ。何企んでやがるクソガキ共。 なんて考えてることはおくびにも出さず。 『そうですね。じゃあ…… 【大城紅、あだ名は紅くん年は25歳因みに独身よろしくね?】 とかどうですか?』 「さみぃ………」 「センセ、もっと面白いのないの?」 こんのガキ共が。 ■□ [戻る] |