アンタとオレの関係
教育実習期間
「えー、ここまでが基礎になります。それでは、練習問題にいきましょう。問1を吉沢くん、問2を秋峰くん、問3をりょ……佐倉くん」
ちょっと。
いつになったら怜志は俺の名前を言いかけずに名字を言えるようになるの。
授業はわかりやすいんだけどなー。
教育実習生らしく、いろんな機材を使ってくれて、毎回飽きないし。
俺(+有志)の呼び方だけが進歩しない怜志先生に内心ため息をつきながらも、黒板に出て答えを書いていく。
隣には蒼太、さらに蒼太の隣には吉沢くんと、3人並んで黒板に答えを書いていく。
自分の解答に間違いがないか確かめるべく、全体を見ようと一歩足を引いたら……
『わわっ!』
「おっと」
何故か後ろに怜志先生がいらっしゃいました。
っていうか、なんで一歩後ろに下がっただけでぶつかる位置にいたの……。
「大丈夫?」
『あ、うん……じゃなくてはい』
……俺もあんまり怜志のこと言えないなぁ。
そんな感じで、まあまあごく普通に教育実習週間は過ぎていった。
…………学校では。
そう。
普段は冷静な怜志先生は、寮に帰るとただの【お兄ちゃん】になってしまうのだ。
「だぁぁぁあ!! 教師寮に帰れ! このアホ兄貴!」
「ゆーしヒドい! 遼はこんなにカワイイのに!」
ぎゅう〜
「遼は関係ないだろが!」
「あるよー。可愛いカワイイ実弟が相手にしてくれないから、さらに可愛いカワイイ遼に癒やしを求めるわけ」
ぎゅぎゅう〜〜〜
『れーしヒドい……所詮俺は身代わりでしかなかったのね!!』
「ぇえ!? 違うよ! 俺は遼も大好きなのー」
ぎゅぎゅぎゅう〜〜〜〜〜
『ぐぇっ』
「遼っ!!?」
「っにやってんだこンのアホバカ兄貴ぃぃい!」
「平和だね」
ズズッ………
「うん。平和」
ズズッ…………
「あんなモンBGMかなんかだと思えば、大して煩くもないしな」
佐倉遼と明神有志の部屋である8010号室には部屋の主である2人以外に、何故か教育実習生の明神怜志がいて騒いでおり、さらに友人である秋峰蒼太、神崎健、春山和巴の3人が、その喧騒をものともせずに、日本茶を啜っていたのであった。
◆◇
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