アンタとオレの関係
部屋に二人きり -01
俺は今、本日の予定が書かれた紙を見ている。
〈本日の予定〉
9:00 ホテルに到着
10:00 ペアでの散策開始
12:00 昼食
13:00 ホテル前に集合
13:30 鬼ごっこ開始
17:30 鬼ごっこ終了
18:00 夕食
20:00 イベント(シークレット)
22:00 イベント終了
23:00 就寝
そして今は9:00すぎ。つまり、フリータイムだ。
「まずは、部屋に行くぞ」
『おー…』
「10:00からの自由散策は隠れ場所探しな」
『おー…』
「なんだ、最後まで残るんじゃないのか?」
『んーん、残るよ』
「?まぁ良い。行くぞ」
『あーぃ』
出発が早すぎて、朝ごはんを食べていない俺。
今にも腹の小人さんが大工事を始めそうな予感です。
だけどご飯は自由散策まで我慢しよっと。自然の中を歩きながらの朝食トカ、よくね?
夾についていって辿り着いたのはこのホテルの最上階。
金の部屋番号がついたドアを開けて見た部屋は………
『広ーい!すごーい!いい眺めー!!!』
思わず、走った。
リビングの壁一面に広がる大パノラマ。
木々の緑が眩しい。
遥か遠くには町が見えている。
これなら夜景も綺麗なんだろう。
そんなことを考えながら窓に張り付くようにして景色を楽しんでいると、後ろから覆い被さるようにして夾が抱きついてきた。
…………抱 き つ い て き た ?
『ぅをい何してんのお前』
「あ…………」
一瞬、夾の腕の力が緩んだ。
自分でも気づかないうちの行動だった………とか?
けど、次の瞬間にはまた苦しいぐらいに抱きしめられた。
「…………可愛すぎるお前が悪い。もうちょいこのまま」
そう言って、顎を俺の肩に乗せた。
左腕は俺の胸のあたりを覆うように、右腕は右のわき腹から左の腰骨を覆うようにして抱きしめている。
…………………………………なんかこの体勢、照れるんデスけど。
例えていうなら、夜、大都会のホテルのスイートルームで若い男女がやる行動、みたいな?
でも、今は昼間ってか朝だし、ここは電波の入らない所にあるホテルだし、俺たちどっちとも【男】だし(ここ重要)。
そう、自分に言い聞かせてるのに、鼓動がうるさい。
どうなっちゃってんの、コレ?
俺の背中に張り付く夾の胸から鼓動が伝わる。
コイツの鼓動も、早い??
なんだ、この空気。
俺たちはこの学園に多い同性のカップルでもなければ、片思い中同士でもない…ハズ。
そんなことを考えて混乱に陥っているとき。
この甘ーい空気をブチ壊す音が部屋中に鳴り響いた。
ぐるぎゅ〜
……………すいません。
俺の腹の小人さんたちが大工事を始めてしまった模様です。
◆◇
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