アンタとオレの関係
-03 (SIDE 遼)
これは、なんだ?
俺は今、蒼太に抱きしめられている。
なんで、こうなった?
俺は蒼太が何もされてないか心配で、それに対して蒼太は何もなかったと、心配してくれてありがとうと返してくれた。
なにも……………なかった………?
違うな。
蒼太は薬で眠らされて、放置されたんだ。
十分に何かあったんじゃないか。
だとすると、蒼太のこの抱擁は、怖かった、だけど今は安心したっていうこと……か?
そう考えて俺は、抱きついてきた蒼太を抱き返した。
『蒼太…怖かった、な?』
ついでに頭も撫でてやる。こうしてもらうと落ち着くんだよな。
「………―よ」
『? ごめん、蒼太。よく聞こえなかった。なに?』
「ちがうよ。ちがう」
『何が違うんだ?』
「怖かったのは僕じゃないよ。……遼くんの方だ」
な………に…………?
「この学校に来てまだ半月も経っていないのに、いきなりこんなことになって混乱してるでしょう?」
蒼太は、何を言っている?
「詳しいことまでは知らないよ。だけど、今の遼くんの気持ちならわかるよ。………悔しくて、情けなくて、悲しくて、でもその気持ちをどこに向けていいかわからない。そうじゃない?」
なん…………で………
「一人でいるのが辛くて、でも人に話せるようなことでもなくて、結局自分一人で抱え込むしかない。だけど、そうすることで何かが解決できるとも思わないし思えない」
俺は思わず、上半身を蒼太から離し、その顔をまじまじと見つめてしまった。
『な、ん…で?』
「わかるのかって?」
コクリ。頷く。
「僕も………一緒だったからだよ」
蒼太の切なそうな顔を見たら、涙が出てきた。
◆◇
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