アンタとオレの関係
呼び出し -01
こんなふうにしてゴールデンウィークは過ぎ、ゴールデンウィーク明けも休み時間と放課後は練習三昧だった。
だけど。寮に帰ってからは自由時間なわけで。
そこを狙ったかのように、俺は再び、見知らぬ生徒に呼び出されるようになった。
しかも、交流会の前とは違い、そのだいたいはゴツい系だったり、そうじゃなくても俺より身長があったりする。
中には可愛らしい容姿をした人もいたけれど、明らかに、以前よりもそういうタイプは減った。
ゴツい系やらが多くなったと同時に、問題も増えた。
たいていは「ごめんなさい」で済むけれど、中には襲いかかってこようとする者もいたり。
そういう時は、逃げるか、蹴りとばすかしている。
そして、今日も呼び出し。
いい加減行くのをやめようかとも思うのだが、相手が待ちぼうけをくらってしまったら、それはそれで可哀想だよなぁとか思ったり。
結果、俺は毎回律儀に呼び出し場所に向かうことになるのだ。
今日の呼び出しは、寮の、中庭というには広すぎる中庭だった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
寮を出て、中庭の噴水前に到着したのは20:00より少し前。
そこに、呼び出した張本人であろう人影が見えた。
久々に見る、小柄な呼び出し人に安堵していたのも束の間。
向こうは、俺を見るなり飛びついてきた。
「遼くん!!」
『っと!』
飛びついてきたのが自分より大きい男だったら、かわすなり蹴りを入れるなりするんだけれど、いかんせん、相手は自分より小柄でかわいらしい子。
自己防衛という言い訳が通用するようにも思えず、迷っている間に思わず抱き止めてしまった。
腕の中にいる相手は顔を上げ、うっとりとこちらを見てくる。
「遼くん、眼鏡してないんだ……」
『夕飯を食べてきたばかりなので。そんなに視力がないわけじゃありませんし………』
「髪は? 結んでないの?」
『交流会の時に外してから、なんだかこっちの方が落ち着きまして』
「そうなんだ…遼くん、いい匂いがする……」
『え? そうですか? 香水とかはつけてないんですが……』
「でも、いい匂い……」
そう言って、俺の首筋に顔を埋める相手。
なんだか会話が噛み合っているようでいない相手に、どう話を切り出せばいいのだろうか。
そして、それよりも大きな問題が一つ。
この人、誰ですか?
◆◇
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