小説1-V
第九節
「その洞窟とやら以外の道はねえのか?」
「さぁね。前は洞窟を通ったし、それどころじゃなかったし。」
「じゃあとりあえず、南に向かわねえか? 他に道があるかもしれねえ。」
「そうするのが一番無難かもね。」
ガァンの意見に一行は賛成し、村を出発した。
出発する際、村長からこの地域周辺の地図を手渡された。
「この先に村があるようだが…川を渡れそうな道は見当たらないな。」
「しかも、川が向きを変えて東に向かってる。どうする?」
「ラルス、お前の能力でどうにか川を渡れないか?」
ラルスは考える素振りもなく、すぐに答える。
「無理だと思うよ。」
「お前、もう少し考えてから…」
「川が増水してる上に流れも早くなってるから流れを止める事も水をどかす事も私にはできないし、魔導書を使えば水の上を歩いて渡れるけど、全員に術を施す前に私の能力が尽きちゃう。だから無理。」
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