小説1-V 第七節 「何故そうまでして…」 「調査団のような連中への対策だろう。2つも力を持った者があんな人の集まる場所で腕を振るっては、調査団にいずれ見つかってしまう。その時に辻褄を合わせる為だ。」 「そうでしたか。それにしても、あれほど力を高める必要があったのですか?」 「高める? そんなことはしていないぞ。」 「え? でもクロウ様の力を感じた銀の騎士は酷く怯えて…」 「あれは高めたのではない。抑えたんだ。」 「抑えた?」 「あぁ。アイツが認識できる程度の大きさまで力を抑えた。強すぎる力は認識しづらいからな。」 「そう、なのですか?」 「あまりにデカすぎる物は全体を把握しづらい。それと同じだ。」 「あぁ、なるほど。なんとなくわかりました。」 「それより、この施設を停止するぞ。」 「わかりました。」 クロウは自らが塞いだ入り口を再びこじ開け、2人は施設の中に入っていった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |