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青い君を愛する少女は
世の中甘くない

バスケは好きだ。
昔も今も。何があっても、何が起こっても。それだけは自信を持って言える。



「おい、やんねぇのか」



例えそれが「キセキの世代」のエースでも、だ。
悪いが、中途半端なお前なんて敵じゃない。





「お前、何なんだよ!」



最初から勝てる気なんて一ミリも思ってなんかない。
むしろ、こいつに勝てる奴がいるなら是非1on1をしているところを見せて欲しいくらいだ。

さっきから青峰とやっている1on1の結果は素人が見ても明らかだ。完全に俺の負け。


「相手は天才だ」
「キセキの世代相手によくやった」


第三者がいれば間違いなくそうやって言われているこの状況。
その状況で、何故青峰が怒っているか、だ。

俺がその辺の奴らとは違うからだ。



『青峰、これだけは自信を持って言える』


「......何だよ」


『今の俺は、お前より、バスケが好きで楽しんでいるんだよ』



点数を付けていないから確かな点差は分からない。
だけど、青峰のペースが短時間の内に乱れている。

これは素人だと、いや、これが試合ならコートにいる選手でも気付くか気付かないかの些細なことだ。

短時間で気付いた青峰はやっぱり凄いと思う。
でも、気付いた時には焦るよねぇ。



『ごめんね。負けず嫌いなんだよ。しかも質の特別悪い、ね』


「何言って、」



隙が出来た青峰からボールを取ろうとして失敗する。
心理戦も彼相手なら一苦労だなぁ。



『言うつもりはなかったんだけどなぁ』

俺はお前を本当のバスケバカにしたら退部する

「はぁ?」



驚いてる驚いてる。面白い顔しているわ、青峰。

でもな、その間抜け顔。今に外に出しても恥ずかしくない様に調教してやる。覚悟しておけ。



「翔弥?青峰?なんちゅう時間に外におるんや?」



―――それはこの通り魔とさえ会わなかったらの話であって。



『兄貴ぃ』
「今吉サン」


「翔弥。お前は2日続けてとか、学習せぇや。青峰も青峰や」

2人共、ワシの部屋に来ぃや?
逃げようとか、もっての他やで?


『わーやだー』
「マジかよ」



世の中甘くない。

誰が言い出したか知らないが、今の俺の気持ちは正しくこの一言で表せるものであって。

取り敢えず、今は覚悟させられる側へと一旦変わらないといけないらしい。




この後男子寮で静かなお説教が始まったのは、今吉寮長の手回しで誰にもバレていないことを2人は知らされていない。


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あきゅろす。
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