山茶花の小説

樽チェアのこと

  その118禁サガ×カノン   

 ある日のこと海界へ出張に出かけていたカノンが、一斗缶くらいの大きさの樽を二つ提げて帰ってきた。

「どうしたのだ、これは?」
 サガが不審に思って問いただしても、もらったの一言のみ残してソファーにひっくり返ると爆睡しだしてしまった。
「そんなに疲れているのなら、ベッドまで行けばいいだろうに」

 眠ってしまったカノンに薄い毛布をかけてやり、乱れた前髪をかきあげてやると不意に現れた端正な表情にちょっとときめいたりする。
 気を取り直して、カノンの持って来た樽を持ち上げてみる。中身が入っているらしく、揺すってみると小さくポチャンと音がした。
「酒…なのだろうな?2人で飲むには少し多すぎるような気もするが、カノンが起きたら本人に聞けばいいか。」
 
 ソファーをカノンに取られてしまったので、クッションを持ってきて弟の眠るソファーにもたれ掛かり床にじかに座る。しばらくは本を読んでいたが、弟の寝息に釣られたのかいつの間にか眠ってしまったようだった。

 
 しばらくして目覚めたカノンは、至近距離で眠る兄の寝顔に少し驚いたが自分にかけられていた毛布を見るとクスリと笑い、そっと兄にかけてやった。
 兄を起こさぬように静かに立ち上がり、喉の渇きを覚えてキッチンへと向かう。途中で気が変わって持ってきた樽を開けて味見をすることにする。
「ん、思っていたより強い酒だな。炭酸かなんかで割るといいかもしれない。」
 
 小ぶりの樽の4分の1くらいをピッチャーに注ぎ込むと、冷蔵庫にしまっておいた。ついでに、冷蔵庫の中身を調べて夕食を作り始める。
 (出張前に冷蔵庫を一杯にしておいてやったのに、あんまり減ってないってことは碌なモン食べてないか、外食で済ませたかだな。…しかたがない、今度出張が決まったらすぐ食べられる物を一杯冷凍しといてやろう。)
 なんのかんのいっても、兄には甘いカノンだった。 

「戻ったのか。」
 後ろから腕が伸びてきて抱きしめられる。
「あぁ、ただいま」
 流石に毎度の事なので、いちいち驚いたりしない。後ろから顎をつかまれて横を向かされ、深いキスを受ける。
「…お帰りのキスにしちゃあ、えらく濃厚だな。」
「ぬかせ、私を寂しがらせた罰だ」

 キスが首筋に降りてくる。カノンの弱い所を知り尽くした指先が、体中を這い回る。
「ちょっと待てよ、もうすぐ食事ができるぜ。食べてからでもいいんじゃないか?」 
「…お前の方が旨そうだ」
 耳たぶに軽く歯を立てられて体から力が抜けてしまう。
 たまらず、目の前の調理台にしがみ付く。

 服の合わせ目から手を差し込まれ直に自身を弄られて甘い声を上げる。その間も耳の中に舌先を差し込まれたり、空いた手で胸の突起を捏ね繰り回されたりと好き放題にされた。
 巧みな愛撫に堪えきれず兄の手に中に精を漏らしてしまうと、勝ち誇ったように手首まで散った白いものを舌先で舐め取ってみせる。

 その姿を見ていて、急に背筋をぞくぞくしたものが走って立っていられなくなってしまう。
「どうした、そんなに良かったのか?顔が真っ赤だぞ。」
「な、なんか…今の見てたらめちゃくちゃコーフンした…///」 
 
 不思議そうにカノンを見ていた兄が、やがてにんまりと笑った。
「では、出張明けだし今日の所はこのくらいでカンベンしてやるかと思っていたが、遠慮はいらんと云う事だな。」
 カノンが墓穴を掘ったことに気が付いたときには、下穿きをぬがされ、調理台の上に押し倒された後だった。

「ち、ちょっと待ってくれ。サラダ菜や人参と並んで抱かれるのはイヤだ。」
「好き嫌いはいかんな」
「どっちが好き嫌いが多いんだよ…んっ…」
 文句を言おうとした口を口付けで塞がれ、ねじ込まれた舌に翻弄される。
 やがて投げ出されていた腕が兄の背に回され、自分から舌を差し入れて強く吸われる。
 
 卓上のちいさいオリーブオイルの壜を手に取り掌の上にたらりと垂らしてみせつけられる。肉食獣のように酷く笑った兄の腕が片足を抱え上げ、奥の蕾をオリーブオイルに塗れた長い指先が弄ってくる。蜜孔の奥までたっぷりとオイルを塗りこまれ、かき混ぜられた。

「お前の大好物をくれてやろう」
 
 両足を肩に抱えあげられ、上半身を二つ折りされて一気に貫かれる。衝撃に思わず声を上げ、ずり上がろうとしても、兄の手にがっちりと押しとどめられる。

「どうだ、気持ちいいだろう?私を一人にした罰だ。」
「し…仕事なんだから…仕方…ねぇ…だ…ろ…」
 腰を激しく打ち付けられて、体の奥の肉が熱をもっていくのがわかる。兄の熱い肉棒に絡み付き、締め付けて旨そうに咀嚼している。

「何が仕事だ!お前は双子座の聖闘士だろう!海界の事まで首をつっ込む事はない!」

  荒々しく突き上げられて声が漏れる。熱い吐息にまみれて兄の名を呼ぶ。噛みつかれるようにキスして、舌を絡め吸いあう。
「…俺に…やっと出来た居場所なんだよ…奪わないでくれよ…」
「お前の居場所は此処だろうが!」
 体重をかけられ、より深くに侵入を許してしまい生理的な涙があふれる。
「俺を…また…閉じ込めるつもりかよ……もう、厭なんだよ…独りきりは!」 
 
 カノンの体を押さえつけ、強引に抽送を繰り返していた兄が不意に動きを止めた。
「カノン、私はそんなつもりでは…」
 頬に流れる涙に口付けして許しを乞うてくる兄に苦笑いして、抱きしめる。
「よせよ、アンタにそんな顔は似合わないぜ。寂しかったんなら、寂しかったと言ってくれりゃあ云い。俺も、アンタ達にあえなくて寂しかったよ。」
 
 どちらからともなく口付けして、優しく舌を触れ合わせる。再び抽送が開始されるが、先ほどの荒々しさはない。何度もキスして抱きしめあって互いの動きに合わせて足を絡め、濡れた肉を打ち付けあう。

 二人が同時に果てたのは日付の変わった頃だった。
 

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