山茶花の小説
3000HITリクエストでロスカノ その8

「ホントに馬鹿なんだよなあ。ああやってすぐ許しちまうから、あいつが図に乗るんだってことがわかっちゃいねぇ。一番大変なのは自分なのによぉ」
 ぶつくさとつぶやくデスマスクに一瞥をくれ視線を元に戻す。

 双児宮のリビングでは、今度は黒髪の男の方がソファーに横たわり、たくましい腰の上でサガの体がリズミカルに揺れていた。長い髪がサガの体に絡みつき、男が突き上げる度に淫らに揺れる。
 大きく足を開いて男の体に跨がり、盛んに腰を振って切ない声を上げている。極太の肉棒を体内に咥え込んだまま、サガは男の口唇を舐めて舌を求め、二人が舌を触れ合わせ絡めあうのを、なぜかじりじりと炙られるような思いを抱きながらアイオロスは眺めていた。
 
 黒髪の男はにやりと笑い、サガの腰を掴んで無茶苦茶に動かしだす。あまり激しく動かしだしたので、アイオロスの眼にさえもサガの蜜孔に出入りする男の猛々しい怒張が見て取れたほどだ。

 サガの体は男が突き上げる度にみだらなダンスを踊っていたが、感極まったはずみに後ろに仰け反りこちらに顔を向けた。男に乱暴に突き上げられながら、その顔に浮かんでいたのは苦痛に歪んだ表情ではなく、蕩けるような愉悦の表情で、苦痛のうめきではなく快感の喘ぎを発していた。
 
 きれいだ…アイオロスは心からそう思った。

 同時にサガの体を自由にし、共に暮らしている男に猛然と嫉妬心を覚える自分に驚いた。サガの事は親友とは思っていても、恋愛感情を抱いた事はなかったはずなのに。

「犯されてるくせに感じちまいやがって…結局、同じ穴のムジナだってことだ。あの兄弟はよ」
「兄弟だと?」
「あれ?わからなかったのかよ。嘘だろ〜あいつら同じ顔してるじゃないか。声だって同じだったろ」
「…同じ顔?」
 サガと、あの禍々しい小宇宙に包まれた男が?

 アイオロスの訝しい目つきにげんなりしたデスマスクが自ら種明かしを始める。
「だからぁサガと、今日の昼前に俺の宮で会った海闘士は兄弟なんだよ。」
 しかも、ガキの頃から乳繰り合ってるんだぜ、あいつらと吐き捨てるように続けた。

「待てよ、お前の宮で見た海闘士とあの禍々しい男が同一人物だとは俺には到底信じられん」
 余りにも信じられない言葉にアイオロスの口調がとげとげしくなる。一度会ったきりとはいえ、気さくそうに見えたあの男の正体があんなに恐ろしげな小宇宙も持ち主とは思いたくはなかった。

「何言ってんだよ。あれはサガじゃないか!」
 OH!MY!GOD!のジェスチャーで肩をすくめてデスマスクが嘯く。
「なに!」
 驚きに目を見開いたアイオロスに、何を今更と言う顔でなおもデスマスクは続ける。

「あぁやって、実の兄貴に突っ込まれて腰振ってよがってるのがアンタの会いたがっていた海闘士だよ」


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